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五輪テレビ観戦支える最新技術、センサーやAIで選手を可視化

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新型コロナウイルス禍でほぼすべての会場が無観客となる東京五輪。多くの人が自宅のテレビで選手を応援することになるが、最新のセンサーや人工知能(AI)が中継技術を支え、新たな五輪の観戦体験ができそうだ。写真は2016年のリオ大会、陸上女子100メートル決勝。2016年8月、リオデジャネイロで撮影(2021年 ロイター/Damir Sagolj)

例えば、陸上競技。これまでテレビ中継が伝えるデータは主にタイムだったが、今大会は選手がいま時速何キロで走っているのかも画面に表示される。人類最速を決める100メートル決勝で勝者が最高速度に達したのはいつか。1万メートルでは誰がいま加減速しているか、走者間の距離はどのくらいか──などがリアルタイムで分かる。

こうした情報の取得は、毎秒約2000ものデータを収集するセンサーと位置を把握するシステムによって実現される。今大会では陸上選手全員がゼッケンに小型のモーションセンサータグを装着し、タグがコース周辺に設置された多数の受信機と交信する。システムは各選手の位置を認識する。

技術を手がけるスイスの高級時計ブランドのオメガは、今大会を含めてこれまで五輪の公式計時を29回担当してきた。

開発したオメガ・タイミング社のアラン・ゾブリスト最高経営責任者はロイターの取材に対し、新技術で「選手のパフォーマンスに関する追加情報を提供できる」と説明。「選手たちのパフォーマンスがいかに素晴らしいかを結果だけでなく、スタートからゴールまでのレース全体で分析することで初めて理解できるようになる」と語る。

競泳では、プール周辺に設置したAIを活用した画像追跡カメラで各選手の動きを記録。泳ぐスピードを計測し、ほぼ同着のレースも終盤で最も加速したのが誰だったかが分かる。ビーチバレーもAIカメラを使い、選手のジャンプの回数や高さなどを計測する。馬術などでも同様の技術を用いる。データは選手らのトレーニングにも生かされる。

パソコンの頭脳を開発する米半導体大手インテルも、東京五輪に最先端の技術を投入する。陸上競技の短距離ではカメラ4台を使って選手の動きを取り込み、AIで分析。スピードを可視化して実際の映像に反映させる。

バスケットボールでは、コンピュータが作り出した映像の中に視聴者が入り込める技術を実現。会場全体に高解像度の小型カメラを設置し、コート全体からプレーを撮影。縦・横・奥行きを記録した立体映像データを処理することで、360度リプレーや肉眼では判定が難しいプレーの確認を可能にする。

(白木真紀、山光瑛美 編集:久保信博)

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