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バイデン米大統領が就任、「無意味な戦い終結」と団結訴え

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米民主党のジョー・バイデン氏が20日、首都ワシントンの連邦議会議事堂で宣誓し、第46代大統領に就任した(2021年 ロイター/KEVIN LAMARQUE)

バイデン氏は一世紀以上にわたり先祖代々受け継がれている聖書を手にし、ロバーツ連邦最高裁判所長官の前で宣誓。就任演説で「この時代の試練を通じ、米国は新たに試され、挑戦に立ち向かう」とし、「われわれはきょう勝利を祝う。民主主義が勝利した」と述べた。

バイデン氏は大統領として史上最高齢。就任式は新型コロナウイルス対策と議会議事堂への乱入事件を受けたセキュリティー上の懸念を受け、規模を縮小して行われた。

トランプ前大統領は任期最終日の20日朝、ホワイトハウスを後にした。バイデン氏の就任式には出席せず、メラニア夫人と共にフロリダ州の別荘に向かった。

一方、ペンス副大統領や共和党の議会指導部は出席。オバマ元大統領、ジョージ・W・ブッシュ元大統領、ビル・クリントン元大統領も参列した。

また、通常であれば就任式を祝うために集まる観客に代わり、今年は議事堂からリンカーン記念館までのナショナル・モールに約20万本の米国旗が飾られた。

カマラ・ハリス副大統領も宣誓し、黒人・アジア系米国人そして女性として初の米副大統領に就任した。

ペンス氏はハリス氏の議会到着を拍手で出迎え。関係者によると、ペンス氏はこの後、カレン夫人と共に地元のインディアナ州コロンバスに戻る予定。

米国は新型コロナのパンデミック(世界的大流行)、景気低迷、気候変動、人種問題の4分野で課題に直面している。バイデン氏は「これらの課題を克服し、米国の魂をよみがえらせ、未来を確保するには言葉以上のものが必要だ。それは民主主義の中で最も難しいもの、すなわち団結だ」と強調。「われわれは民主党と共和党、都市部と地方、リベラル派と保守派の無意味な戦いを終わらせなければならない」と訴えた。

また6日に発生した議会議事堂への乱入事件について、暴徒が米民主主義の根幹を覆そうとしたが、自身の大統領就任によって、その失敗が証明されたと指摘。「(民主主義の阻止は)起こらなかった。きょうも、あすも、将来も決して起きない」と述べた。

その上で「私は全ての米国民の大統領になると誓う」とし、「私を支持した国民そして支持しなかった国民のために戦う」と言明した。

大統領報道官に就任するサキ氏によると、バイデン氏は20日中に新型コロナ、経済、地球温暖化、人種問題といった「危機」に対応する大統領令などに署名する。

最優先課題とする新型コロナ対応を巡っては、連邦庁舎内でのマスク着用の義務化を指示し、コロナ対応でホワイトハウス内の新たな連携体制を確立する方針。

外交に関しては、トランプ政権によって悪化した同盟関係を修復し、平和や安全保障において強く信頼できる提携国になると明言。北朝鮮やイラン、中国に関する言及はなかった。

バイデン氏の大統領就任を受け、各国首脳は祝意を表明。欧州委員会のフォンデアライエン委員長はホワイトハウスに「友人」がいることを楽しみしているとし、バイデン大統領と新型コロナ感染拡大への対応や気候変動問題のほか、多国間主義の再構築などで共に取り組んでいく意向を示した。

ジョンソン英首相も、新型コロナ禍からの景気回復や気候変動、大西洋地域の安全保障強化という共通の課題で連携していくことに期待を表明した。

また、イラン外務省の報道官は「米国の問題に対処できるのは米国だけと世界は分かっている。単に言葉だけではなく実行でだ」とツイッターに投稿した。

就任式後、バイデン大統領はワシントン近郊のアーリントン国立墓地を訪れ、無名戦士の墓に献花した。オバマ、ブッシュ、クリントンの歴代大統領らも同席した。

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