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コロナ禍で便利になった? 新業態が続々のシリコンバレー

働くママのシリコンバレー通信
イラスト:tanomakiko

パンデミック、BLM、カリフォルニアの大規模山火事、大統領選などアメリカ発の話題が尽きることのなかった2020年が終わり、新しい年が始まりました。ワクチンが承認され、接種も始まり、気持ちがやや上向きになっていた年明け早々、熱狂的なトランプ支持者による議会乱入事件が発生しました。引き続き話題に事欠かない1年になりそうな幕開けです。

カリフォルニアでは感染者が急増し、多くの地域で不要不急の外出を控える外出禁止令が昨年12月に再び発令されました。私の住むエリアではレストランの利用は、店外に設置された飲食スペースまでも使用禁止になり、美容室も閉鎖に追い込まれました。また逆戻りで心が折れそうです。

今現在レストランは、一時的に再びテイクアウトとデリバリーのみとなっています。

この原稿の執筆時点では、アメリカだけでなく日本も急激に感染者数が増加しており、日本の一部では緊急事態宣言が発令されました。それでもアメリカの感染者総人数2,100万人に対して、日本は25万人。人口比にするとアメリカでは15人に一人がコロナに感染しているのに対して(これだけ人数が増えると知り合いでコロナにかかった人が複数でてきます。次は自分かも、とうっすら覚悟もし始めました)、アメリカより規制はずっと緩いのに日本では480人に一人程度。年末に短期間日本に帰国しましたが、子供達が学校に通学し、百貨店やレストランが普通に営業し、大勢の人々が電車で移動しているのを見て、コロナ前により近い状態で社会が機能しているように感じました。ちなみに、私の子供は3月からオンライン授業で、学校にはまだ1日も行けていません。先生にもビデオのみで実際に会ったことがありません。予断を許さない現在の状況は本当に心配ですが、日本の方がずっとコロナを抑えこんでいるような印象がありました。

米国の状況は日本とあまりに違うので、私の住むエリアでは何が基準となってこのような厳しい規制が続いているのか、また、これだけいろいろ我慢しているのになぜ感染者数が減らないのだろう、とストレスに感じる時があります。

アップルストアは予約制などいろいろな工夫をして再開したり、閉鎖したりしていましたが、現在は感染者の拡大をうけて、一時的に再び閉鎖しています。

「どの程度感染に気をつけて生きるか」という感染予防の基準は、アメリカでも人それぞれです。サンフランシスコ・シリコンバレーでは公園での子供のマスクの着用は一般的ですが、カリフォルニアの他のエリアから来た人は、子供がマスクをして遊んでいるのに驚いていた、という話を聞きました。サンフランシスコ周辺でも意識の差はバラバラで、友だちや親族といった数人単位の「ソーシャルバブル」とだけ会うことにしている人もいれば、友達と遊ぶなんてとんでもない、両親や離れて住む兄弟にも一切会っていない、という人もいます。家から基本的に一歩も出ない、という人もいる一方で、飛行機に乗ってホリデーシーズンに旅行に出かけた人もいていろいろです。

生活必需品の買い物のスタイルも人それぞれです。日本もアメリカもコロナの影響で、オンラインショッピングの利用が上昇しましたが、食料品や雑貨もオンラインショッピングを利用し始めた人が私の周囲でも増えました。食品は直接手に取って自分で買いたい人もいるとは思いますが、店舗は収容人数の制限をしているので、店に入るまで並ぶことも多いですし、多少割高でもオンラインに流れている人も多いのかもしれません。各社業績を伸ばしています。

コロナ前からアプリで注文する買いもの代行サービスや、スーパーマーケットが生鮮品等を自宅に送り届けるサービスは存在していましたが、業績は苦戦していました。2012年にサンフランシスコで創業したインスタカートは、配車サービスのUber などと同じで自分の空いている時間に仕事をするギグエコノミーをベースとしたサービスです。昨年ようやく黒字化し、雇用を増やしています。

アマゾン傘下のナチュラルオーガニック系のスーパーマーケット、ホールフーズに行くと、一心不乱にデバイスを見つめながら、注文リストの品をカートに入れる買いもの代行業の方々(ショッパー)多く見かけます。一般のお客さんとは別にショッパー専用のレジがあるところもあります。そのような流れを受けて、ホールフーズでは、私のような一般客を店舗内に入れないオンライン注文専用店舗をオープンしました。スタッフはオンライン注文の業務だけに集中できるので、効率がよく、デリバリーまでのスピードを早めたり、店内に入る人間の数を抑えることで、感染防止につなげています。

ナチュラルオーガニック系のスーパーマーケット、ホールフーズのサイトのスクリーンショット。Amazonのサイトから入ります。

外食する、しない、も感染リスクの意見が分かれるところです。これは、日本でもそうかもしれないですね。私の住むエリアでは、店外の飲食スペースはオッケー、レストランの中は収容人数を定員の20%に抑えるなどの制限つきでしばし営業していましたが、今現在は、一時的に再びテイクアウトとデリバリーのみとなっています。昨年6月、店外の飲食スペースでの営業が再開したときは嬉しかったです。大勢で会うのは控えつつ、家族や定期的に会っている友人と食事を数回しました。一方で、レストランで盛大に誕生会を開催した人たちもいました。自分のテーブルと他人とのテーブルの距離が近い、食器からの感染が怖いなど、レストランでの飲食に抵抗が強い人もいて、コロナ感染が広がって以来、一度も外食していない、という人も大勢いますが、レストランでは食べなくてもテイクアウトやデリバリーは利用している人が多いです。

日本もアメリカもレストラン業界は大きな打撃を受けました。レストランの口コミやビジネスのレビューサイトを運営するYelpの調査によると、カリフォルニアだけでも約4万のレストランが昨年から閉鎖に追い込まれました。営業ができないにもかかわらず、賃貸や固定費が延々と発生し続けるのと、先行きが不透明なため、「クラウドキッチン」に事業転換したレストランもありました。

Uberの創業者、トラビス・カラニック氏が手がけるクラウドキッチンのウェブサイトのスクリーンショット。ネット注文を受けて配達する(ときにピックアップ)に限定したサービス。実店舗のレストランは存在しません。配達のドライバーたちが、ラウンジで待機して待っていることもあります。

日本も含めて世界でも活用され始めているクラウドキッチンは、ネット注文を受けて配達する(場合によっては注文者が取りに行く)に限定したサービスなので、接客スタッフや実店舗を伴いません。例えば、WeWorkなどのコワーキングスペースの厨房版をイメージしていただくといいかもしれないです。食べ物を届けてもらう消費者にとっては、レストランの厨房で作っていようが、クラウドキッチンから届けられようが、内容は変わりません。レストランを構えるのではなく、厨房施設を借りて、配達をアプリ注文のフードデリバリー「DoorDash」や「UberEat」に委託し、ランニングコストをセーブするというのがビジネスモデルです。クラウドキッチンでは、建物の中に何社かはいっているので、イタリア料理の横の厨房には、中華料理が作られている、なんてこともあります。

私の家の住所の番地と一つ数字違いに住む住人は、DoorDashのヘビーユーザーのようで、注文したミールやドリンクが間違って我が家に届けられます。ピンポンもなしに、ドアの前にただ置いてあることも多いのです。お店に電話すると、「あ、食べちゃっていいよ。また、作り直すから」と言われることもあります(一回はお言葉に甘えて食べちゃいました)。誤配達は配達サービスの方が費用を負担するそうですが、注文者がイライラして待っているかと思うと気の毒です。この前は、すっかり溶けきったアイスクリームが家の前に置いてありました。アイスクリームやタピオカミルクティなども気軽に配達を頼む人は多いです。人間がやっていることなので、エラーはつきものですが、配達ミスの話は割と耳にするので、レストラン側の負担も相当であろうと想像しています。

個人個人でレベルの差はあれど、感染に繋がりそうな行動を避けている現在、新しいサービスや既存のサービスが新しいライフスタイルの一部になっていくのかもしれません。