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ギンズバーグ連邦最高裁判事の死が映し出す、アメリカ国民の不安

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米ワシントンの連邦議事堂にルース・ベイダー・ギンズバーグ連邦最高裁判事の棺が安置された=ロイター

"Ginsburg’s death crystallizes the choice in November as no other issue can"

「ギンズバーグの死は、ほかのどの問題よりも11月の選択を明確化している」

9月19日付 ワシントン・ポスト紙



9月中旬に亡くなった米連邦最高裁判所の判事ルース・ベイダー・ギンズバーグは著名なjurist(法律家)で、多くのアメリカ人(特に左派)によってrevered(崇敬されていた)。亡くなったタイミングが大統領選挙の直前だったため、大きな騒ぎを引き起こした。

背景には、様々な要因がある。左派からすれば、彼女の後任として保守派の人が入れば最高裁判事の大半が保守派となり、その状況がcement(固定され)長く続いてしまうことになる。その結果、「ロー対ウェード判決」(1973年)が覆されて人工中絶が違法となったり、オバマ政権による医療保険改革(オバマケア)が無効となって持病がある人が健康保険を失ったりすることが懸念されている。逆に、右派からすれば最高裁の構成を変えるという数十年来の願いを実現させる貴重な機会となる。

予想されたように、トランプ大統領は保守派の判事を候補として選び、上院多数党派の院内総務ミッチ・マコネルは直ちに承認のための公聴会を開く姿勢を示した。2016年に保守派の重鎮だったスカリア最高裁判事が亡くなった時は、マコネルは「選挙が近すぎるため」といった理由でオバマが指名した後任候補の公聴会の開催さえ却下した。前回の対応と矛盾する、露骨な挑発行為だと言える。

多くの有権者にとって今年は、大統領の弾劾(だんがい)、深刻なパンデミック、人種問題を危機に至らしめたことなど、多くのissue(注目を集めるテーマ)がある年になっている。だが、結果として、ギンズバーグの後任選択は、ほかのどの出来事よりも、大統領選挙での選択の重大さをcrystallize(明確にしている)。この記事は、ギンズバーグの死は国の将来に関して国民が持っているdisquiet(不安)を非常によくcapture(表現し)ていると述べている。

大統領選候補のcalculus(もくろみ)にも影響を与えるだろう、と記事は指摘している。トランプは、最高裁判事の大半が保守派になるというprospect(見込み)によって自分の政治基盤が活気づくことを期待している。一方、ギンズバーグは女性の権利のために戦ってきたので、左派、特に女性の動きが活発化する可能性もある。歴史を見れば、人工中絶の権利が脅かされる時、その権利を守ろうとする人々の動きも突如として活発になる傾向がある。

なお、マコネルが後任候補エイミー・コニー・バレットの承認手続きを強行したとしても、11月の選挙で民主党がホワイトハウスと上院を勝ち取れば、最高裁判事の人数を増やすという考えが広まっている。バイデンも副大統領候補のハリスもこの可能性について言及していない。今後の動向にさらに注目したい。