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大統領選にも関係大あり、アメリカで郵政改革が大問題になっている理由

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Protestors wearing face masks rally in support of the United States Postal Service (USPS) outside the Trump International Hotel in Washington, U.S. August 22, 2020. REUTERS/Erin Scott
8月22日、ワシントンのトランプ・インターナショナルホテル前で、米郵政公社(USPS)をめぐる改革に抗議する人々=ロイター

“Postal Crisis Ripples Across Nation as Election Looms"

「選挙が迫る中、郵便局の危機が全国に波及する」

8月15日付 ニューヨーク・タイムズ紙

“Neither snow nor rain nor heat nor gloom of night stays these couriers from the swift completion of their appointed rounds"

(雪も雨も暑さも夜の暗がりも、配達人の迅速な仕事の完遂を妨げることはできない)。これはアメリカの郵便局の非公式モットーで、その信頼性を象徴している。大統領選挙では多くの市民がコロナを心配して郵送で投票すると予想されているが、郵便局は迅速な仕事を維持できるだろうか。

通常なら郵便投票が増えても郵便局は問題なく対応できる。例年、年末シーズンにはカードやギフトが遅滞なく届けられる。しかし、ちょうど大統領選がloom(迫る)タイミングで、アメリカの郵便局に大きな変化があった。その結果、危機が全国にripple across(波及し)ている。

その変化とは、共和党のmegadonor(多額の献金者)でトランプ大統領のally(支持者)であるルイス・デジョイが6月にpostmaster general(郵政公社総裁)に就任したことだ。彼はすぐ様々な改革に着手した。残業がなくされて未配達の郵便がたまり、多くの郵便仕分け機が撤去されて、一層の遅れにつながった。かつてはその日の郵便物を全て載せるまで待っていた配達トラックは、決まった時間になると出発するようになり、残りは翌日に繰り越されることになってしまった。結果として、郵送にかかる時間が増え、迅速な配達を望む人々が困る事態となった。

こうした郵便配達を邪魔するような改革をするのはvoter suppression(投票抑圧)を目的にしたサボタージュではないかという声が多くあがり、民主党議員は調査を始めた。一方、デジョイ総裁は、改革は必要なコストカットだと主張している。

この記事が出た数日後、彼は業務の変革は選挙の後まで凍結すると発表した。しかし、すでに実施されたものへの対応など、先行きは不透明だ。今年のウィスコンシン州とオハイオ州の予備選挙では、多くの投票が時間通りに配達されず、選挙結果に反映されなかったものもあるという。11月の大統領選は極めて僅差になると予想されている。同様の問題がまた発生したら、その影響は計り知れないであろう。