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食品だけでなく未来も守る 世界最高水準のバリア性能「GL FILM」ができること

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食品ロスの削減のカギを握るサプライチェーン

年間約643万トン。本来は食べられるはずなのに廃棄されてしまった食品、いわゆる「食品ロス」の日本での推計(2016年)だ。トータルの数値だと実感がわきにくいが、国民1人あたりに換算すると年間約51キロ、茶わん1杯分のご飯を毎日捨ててしまっているという計算になる。

世界に目を向ければ、年間で食糧生産量の3分の1に相当する約13億トンが廃棄されている。全世界の人口の9人に1人にあたる約8億人が栄養不足にあると言われている一方で、大規模な食品ロスが深刻な社会課題となっている。

食品ロスの問題を難しくしているのは、地球で暮らす全ての人々が当事者であるということだ。消費者の立場で考えると、必要以上に買い過ぎない、料理を作り過ぎないなど、私たち一人ひとりができることも多い。だが、個人の努力だけでは、なかなか前には進まないのも確かだ。

国や自治体、企業などのさまざまな立場の関係者が各々の強みを生かし、できることへの取り組みが求められている。それによって、食品ロスの根本的な解決に向けて大きく動き出すことができる。

この10月に、行政としての大きな前進があった。食品ロスを国民運動として推進していくために、国や自治体、事業者などの責務を記した「食品ロス削減推進法(正式名称:食品ロスの削減の推進に関する法律)」が施行されたのだ。政府は今年度内に基本方針を策定し、地方自治体では具体的な削減に向けた計画を打ち出すことになっている。

事業者の取り組みも進んでいる。食品メーカーでは、賞味期限の表示を年月日から年月に変更したり、AIを利用して生産量を最適化するなどの試みが始まっている。卸売業者では、まだ食べられるにもかかわらず市場で流通できなくなった食品を、フードバンクの活用によって生活困窮者などに提供するケースが増えつつある。外食産業では、小容量メニューの提供や、余った食材・商品を割安で販売するフードシェアリングも行われている。

食品の流通に関して問題視されていたのが「3分の1ルール」。製造日から賞味期限までを3等分して、最初の3分の1をメーカーから小売までの納品期限、次の3分の1を販売期限とする商慣習だ。期限切れで廃棄される食品が多く発生し、食品ロスの要因の一つとされている。国は、卸売業者や小売業者の業界団体に対して期限の緩和を働きかけており、大手の小売店などでは納品期限の見直しが進んでいる。

「3分の1ルール」に代表されるように、さまざまな業種にまたがって発生する食品ロスを削減するためには、食品が生産されてから消費者の元に届くまでのサプライチェーンをいかに見直すかが重要であると言える。そして、食品のサプライチェーンにおいて大きな役割を果たしているのが「容器包装」だ。

容器包装の役割は、「守る」「運ぶ」「伝える」の3つに大きく分けられる。サプライチェーンを担う「運ぶ」だけでなく、内容物の商品情報や賞味期限などを記載して「伝える」ことも重要だ。なかでも、食品を「守る」機能の進化や改善は、食品を捨てずに長く保つために大きく貢献できる要素だ。

アルミに並ぶバリア性能を誇る「GL FILM」

「当社の容器包装は、製造の段階や消費の段階など、サプライチェーンの中でさまざまな役割を担っています。したがって、食品ロスの解決方法をいろいろな形で提案できると思います」。そう語るのは、凸版印刷株式会社の川田靖さん。生活・産業事業本部パッケージソリューション事業部販売促進本部の部長を務める。

「例えば、鮮度保持と賞味期限の延長に関しては、食品を守るのに不可欠な容器包装のバリア性能で貢献できます。ほかにも、レトルトタイプの食品やチューブ容器に入った内容物を最後まで出し切れるような機能を付与したり、食べ切りサイズの小分け包装にしたりするなど、いろいろな切り口でのソリューションを提供しています」

凸版印刷株式会社 生活・産業事業本部グローバル事業部バリア販売部長 新矢直樹さん(左)と同事業本部パッケージソリューション事業部販売促進部長 川田靖さん(右)

印刷テクノロジーをベースに、情報コミュニケーション、建装材、半導体関連製品などの幅広い事業展開を図っている凸版印刷において、パッケージ事業は1900年の創業以来の伝統を持つ。その大部分を占める食品の容器包装には、同社が長年磨きをかけてきた技術やビジネスのノウハウが活かされている。

「容器の形に加工する技術だけでなく、素材までをも自社で製造することによって、他社にない製品機能を出せるのが、当社の強みの一つ」と、同事業本部グローバル事業部営業推進本部の部長、新矢直樹さんは語る。素材メーカーと加工メーカー、そして印刷会社の機能をあわせ持つことで、オリジナリティーや付加価値を持つ容器包装を実現しているという。

容器包装を主用途として、同社がグローバルに展開している素材が「GL FILM」。酸素、水蒸気などの浸入や放出によって内容物が変質・劣化することを防ぐバリア性能に優れた、透明バリアフィルムの一種だ。

GL FILMは、基材となるPET(ポリエチレンテレフタレート)やナイロンと、無機蒸着バリア層(アルミナまたはシリカ)、バリアコート層で構成される。物質を蒸発させて薄い膜にした状態で付着させる「蒸着」という加工において、同社がビールびんのラベルなどで培ってきた独自の技術を活用している。

凸版印刷が開発した「GL FILM」。さまざまな容器包装のバリアフィルムとして用いられる

「内容物が劣化する時に大きな要因となるのが、酸素と水蒸気です。GL FILMはこれらを遮断するバリア性能が高く、金属であるアルミに限りなく近いポジションにあるため、他の透明バリアフィルムと比較しても非常に優れていると言えます」と新矢さんは説明する。

バリア性能のほかにも、透明性や非金属性、焼却しやすさなどの理由で、GL FILMは私たちが普段目にするさまざまな商品に使われている。特にレトルト食品では、高温での殺菌処理に対応した耐熱性能を発揮。さらに、アルミなどの金属を使用していないため電子レンジ調理が可能となる。食品以外の分野でも、ディスプレイや太陽電池、医療・医薬包材などに採用されている。

画期的な応用例が、同社の開発した紙製の小型飲料容器「カートカン」だ。常温流通や長期保存ができ、自動販売機でホットでの販売も可能。自治体の指定する回収方法で紙パックとして扱われ、リサイクルが可能となる。

GL FILMは、世界45以上の国と地域、1万5000点以上の商品に採用され、世界的な食品ロス削減の一翼を担っている。2016年には米国にジョージア工場を設立し、グローバルな供給体制を確立した。

TOPPAN USA, INC. ジョージア工場

最近の例では、コンビニエンスストアでよく見かける総菜商品用に、電子レンジのマイクロ波に耐えうるパウチ包材として、GL FILMが多く使われている。GL FILM自体は1986年から販売を開始しているが、核家族化など食をめぐる社会環境の変化や、簡便調理と食器を洗わなくても良いというニーズの高まりに伴い、採用されるケースが増えたという。

容器包装の将来について、川田さんは「社会の変化に応じて、求められる役割も変わってきています。高度成長期頃に大手量販店が増えると、食品も常温流通で多品種になり、コンビニエンスストアの時代にはチルド流通が増えました。今後はデジタルトランスフォーメーションが発展していく中で、容器包装がどんな情報を伝えるのかが課題になりますし、バリア性能という普遍的な技術もさらに進化していくでしょう」と語る。

GL FILMが使用された「カートカン」(左)と「チューブなパウチ」。(いずれもサンプル)

サステナブル社会の実現を目指して

「ひらかれた社会へ 多様性がはぐくむ持続可能な未来」をテーマに東京都内で開かれた国際シンポジウム「朝日地球会議2019」最終日の10月16日、食品ロスに関するパネルディスカッションなどが行われた。同社常務執行役員で生活・産業事業本部パッケージソリューション事業部長の野口晴彦さんも登壇し、容器包装が果たす役目について講演を行った。

野口さんは、国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」に食品ロス削減が含まれていることを紹介し、「2030年までに、世界全体の一人あたりの食糧廃棄を半減させるという目標が設定されています。我々は食品ロスの現状について真摯(し)に受け止め、SDGsの目標達成に向けて、国、事業者、生活者、それぞれの立場で取り組むことが必要です」と語った。

「朝日地球会議2019」で講演する同社常務執行役員 生活・産業事業本部パッケージソリューション事業部長、野口晴彦さん

具体的に必要とされる容器包装の機能として、(1)鮮度保持、(2)賞味期限延長、(3)小分け包装、(4)内容物の付着防止、(5)輸送時の損傷軽減、の5つに分類。それぞれの事例を説明し、共通する要素として容器包装のバリア性能向上を挙げた。

続いて野口さんはGL FILMの特長を紹介し、「アルミに匹敵する世界最高水準のバリア性を誇る」と述べた。実際に採用されたケースとして、コンビニの総菜の容器を従来のトレーからパウチに変更して賞味期限が延びた例や、缶に入れていた洋菓子を小分け包装にすることで鮮度を保持した例について解説した。

GL FILMは環境適性もあわせ持ち、印刷層とバリア層を兼ね備えていることで、製造時に発生するCO2排出量の削減にもつながるという。酒類の紙パックの内側に使われていたアルミをGL FILMに置き換えることで、容器のリサイクルが可能になったことを説明し、野口さんは講演をこのように締めくくった。

「より機能性を高めたバリアフィルムの開発を行い、包装業界のリーディングカンパニーとして、食品ロス削減と環境問題の解決に貢献する容器包装を提供し続け、サステナブル社会の実現を引き続き目指してまいります」

「廃棄されている食糧が人々に行き渡れば、多くの健康を守ることができる」と話す野口さん

人間が食べないで生活するのは困難であり、食べ物は時間の経過とともに劣化していく。自然の摂理を前提に考えると、食品ロスをゼロにするのは難しい。だが、取り組む人の数が増えれば増えるほど、食品ロスを減らすことはできる。食品をただ単に守るだけではなく、多くの人に食品が無駄なく行き渡るための橋渡しをする存在として、容器包装の重要性はますます高まっていくことが予想される。

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