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ブレット・スティーブンスとドナルド・トランプ、そして虚弱男性の蔓延

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拡大したトコジラミ(左)と、ブレット・スティーブンス氏=いずれもAP

“Bret Stephens,Donald Trump and the epidemic of male fragility”

2019年8月28日付 シカゴ・トリビューン紙

 

ブレット・スティーブンスがウォールストリート・ジャーナルの論説室の副委員長だった間、私はよく彼の記事を読み、納得することが多かった。だが、2017年にニューヨーク・タイムズ紙のコラムニストになると、彼の記事はかなりcurmudgeonly(荒々しく、怒りっぽい)ものになってがっかりした。リベラル派の新聞社に保守派として入ったのでcontrarian(反対意見の人)であるべきだ、と彼は考えたのかも知れない。気候変動や民主党、最高裁判事候補についてbad take(下手な見解)を相次いで書き、特にSNSで批判の的になった。

8月末に同紙のnewsroom(編集室)にbedbugs(トコジラミ)が湧いたと報じられると、ある大学准教授が冗談で「The bedbugs are a metaphor.The bedbugs are Bret Stephens.(トコジラミは隠喩。ブレット・スティーブンスのことだ)」とツイート。読んだ人はほとんどいないと思われた。が、数時間後にスティーブンス本人から准教授にメールが届いた。しかも大学総長がCCに入っていたという。彼はツイートは侮辱的だと主張したが、自らの影響力を使い、准教授の勤務先でトラブルを起こす意図もあったことは明らかだ。彼の対応は広く批判された。

記事は繊細できらびやかな宝飾品のようなエゴを持つ男性が最近、epidemic(疫病)のように広がっていると指摘する。その例として、マクロン仏大統領から侮辱されたとしてアマゾン火災への支援を拒否したブラジルのボルソナーロ大統領や、何かにつけてwhine about(めそめそと愚痴を言う)トランプ大統領を挙げる。記者はmale fragility(虚弱男性)がrampant(蔓延している)と言う。

一方、女性の記者は毎日何度も「トコジラミ」よりひどい呼び方をされても、いちいち謝罪を求めたりはしないと指摘。この記事を書いた男性記者は男性たちに、punch down(自分より地位の低い人を攻撃したり馬鹿にしたり)しないこと、過剰反応しないこと、間違えた時は素直に認めること、自分の気持ちだけが大切であるように振る舞わないことを勧め、これらを実行するのは難しくはないとも主張する。しかしこのメッセージが、insecurities(不安感)だらけの男性たちに届かない可能性は、残念ながらとても高いと私は思う。