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「家事をめぐる問題、直視を」 竹信三恵子・和光大教授

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日本では、家事が社会の外側に置かれている。家事はそれぞれが勝手に工夫してやればいい、と考えられている。社会制度や福祉制度を考えるときに家事労働をきちんと位置づけないと、みんな幸せになれない。

日本は家事をバカにしている。意思決定する立場にある政治家や経営トップ層が、家事をやったことがないからだ。家事がなぜ必要で、どのくらい時間がかかるか、理解されていない。男性は女性に家事を依存してきた。女性を養える賃金を与えるから男性は働け、と言われてきた。最近「イクメン」が増えてきたのは一つの変化だ。賃金水準が下がって、妻を養って家事をしてもらう、というこれまでのモデルが崩れたと言える。

たとえばオランダの人たちは、基層文化として、家事をとても大事にしている。オランダももともと男女分業で、家事は女性がやればいいと言われていた。だが、賃金水準が下がってきたとき、家事は男女両方で担いましょう、と変わった。日本は変え方が逆。女性もお金を稼ぎなさい、家事は無視すればいい、となっている。

まずは労働時間の短縮が必要だ。今の動きは逆で、労働時間の規制を撤廃しようと議論されている。自分で家事をできる余地を狭めている。

家事を外部化するのは悪いことではない。でも単に外部化するだけではダメ。外国人労働者はどうしても立場が弱い。外国人が家事労働に就く場合、もともと立場が弱いうえに、外から見えにくい家庭内に入っていくので、問題が起きやすい。働く人の労働条件が悪くなると、サービスの質が低下する可能性がある。利用者にとってもマイナスだ。欧州では、労働組合が家事労働者の問題に介入している。何か問題が起きたときのための労働者の駆け込み先や、制裁措置などの仕組みが必要だ。

家事は本来、癒やしの行為だ。でも、女性が性別分業で無理やりやらされると、嫌いになる。男性に家事が好きな人が結構いるのは、自分が好きなときに好きな家事をやればいいからだ。日本は性別分業が根強いために、機械化で家事が省力化されても、女性の自由な時間は生まれない。省力化された分、子育てやPTAなど新しい家事が増えているだけだ。

家事は総合的な問題だ。まずは、労働時間を短縮して自分で家事をできる時間をつくる。とはいえ、賃金水準が低ければ長時間働かないと生活できない。労働時間単価を上げることも必要だ。家事を外部の労働者に任せるなら、労働者の権利もきっちり守らなければならない。今の日本はどれもできていない。まずは問題を直視することが重要だ。