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アメリカの選挙で今年人気の肩書は「社会主義者」、その理由は

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2016年のアメリカ大統領選で、自称「民主社会主義者」として立候補し、旋風を巻き起こしたバーニー・サンダース上院議員=Reuters

 “‘YesIm Running as a Socialist.’  Why Candidates Are Embracing the Label in 2018

 4月20日付 ニューヨーク・タイムズ紙

私の祖父母は1920年代、当時の多くの米国人と同様、社交活動の一環として社会党の活動に参加。しかし冷戦時代、社会主義への評価は悪化。私の学生時代には、多くの東側諸国が資本主義を導入し、資本主義は優れたシステムだと考えるのが当然だった。MBA(経営学修士)を取っている私は、資本主義の熱心な信者とも言える。なので、2016年の米大統領予備選で、サンダースが自身をdemocratic socialist(民主社会主義者)と言った時、反発を感じた。彼に投票したら、大学院に修了証書を送り返さなければ、と思ったほどだ。しかし、他の米国人は違ったようだ。

今回の記事は、米国内で社会主義への考えが変化しているというもの。特に若い世代で人気という。2016年のハーバード大の調査では、1829歳の16%が、自分を社会主義者だと回答、33%が社会主義を支持。資本主義を支持するとしたのは42%だけだった。社会主義に関心を持つきっかけは、income inequality(所得の不平等)のようだ。若い支持者らは、それが米国社会の全てをtainting(汚染している)と主張。資本主義は自分たちをlet down(裏切り)、多額の学生ローンをsaddling with(背負わせ)、高い家賃と不安定なキャリアの狭間に立たせる、と感じているという。

トランプ大統領が誕生した際、多くの人が共和、民主の両党が崩壊していると感じ、米国に必要なのはradical fix(抜本的な解決策)だと思った。それに伴い民主社会主義グループの支持者が急増、moribund(停滞していた)支部活動が活発化。ある支持者は言う。「お金が、政治を含めて全てをコントロールする状態が終わってほしい。この考えは、親よりも低収入で、家を買うのが難しく、学生ローンで首が回らない若者にはresonate(響く)」。

社会主義への追い風がある今、立候補予定者らは、長く保守派がslur(非難)の道具に使ってきた「社会主義者」のレッテルを避けるどころか、むしろembrace(歓迎する)という。今秋のmidterms(中間選挙)で、何十人も民主社会主義の支持者が出馬表明している。彼らの健闘がどんな結果をもたらすか、興味深い。