"Women are leaving the tech industry in droves."
2月22日付 ロサンゼルス・タイムズ紙
グーグルやフェイスブックなどの、シリコンバレーで有名なtech industry(ハイテク企業)で、技術系社員の女性の割合は2割を下回るという。業界は対策として、若い女性が技術をembrace(好きになる)よう奨励するプログラムを設け、会社の戦力になれる女性技術者のpipeline(補給線)を生み出すことを期待している。だが記事は、そうした対策だけでは問題解決につながらないと指摘する。ハイテク企業で働く女性がin droves(大量に)辞めていく傾向があるからだ。
背景事情を探るため、記事ではハイテク企業を去った女性たちにインタビューをしている。彼女たちはみな、辞めるきっかけは一つの重大事件ではなく、小さな出来事のadded up(積み重ね)だと話す。一つ一つは文句を言うほどでもないが、undercurrent of sexism(性差別の底流)とhostile environment(敵対的な環境)を象徴する出来事が毎日のように繰り返され、女性である自分がチームから疎外されていると感じるようになる。そして「これは正しいキャリアパスなのか」と疑問に思うようになったという。
女性たちは次のような障害を挙げた。つねに自分の能力やスキルを証明しなければならず、明確な説明なしに昇格や任務の割り当てでpassed up(後に回される)。自分が手がけるプロジェクトを取り上げられたり、dismissed(つぶされ)たりする。自分のassertions(発言)が信頼されない──。こうした出来事を長くput up with(我慢して)いると、その業界に留まるworth it(価値がある)とは思えなくなる。ハーバード・ビジネス・レビューの調査によると、科学や技術の分野で働いている女性の半分はover time(時間の経過とともに)辞めてしまうという。
女性社員たちを居心地悪くさせているものは、目に見える差別ではなく、意図的ではない「差別的態度」であることが多いため、変えることが難しい。まだ完全な解決策を見いだした企業はないが、記事ではいくつかの試みが紹介されている。必要なのは単発の講習会などではなく、sys-temic changes(組織の慣行や構造の変化)だという。
筆者が住むシリコンバレーでは、最近こうした「ハイテク業界の女性が直面する好ましくない環境」についての記事を目にすることが増えた。程度の違いこそあれ、日本人女性が職場で直面する「障壁」と非常に似通っていると感じる。日本を代表する企業の多くは技術系なので、驚くべきことではないのかもしれない。
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