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「難民鎖国」ロヒンギャにも不認定

World Now
祖国で迫害された状況を、大阪市内で弁護士らに説明するアフリカ出身の男性

 

とにかく疑ってかかる

「あなたは難民としては元気すぎる」。ある難民申請者は昨年、難民審査参与員にそんな暴言を投げられた。参与員とは、難民と認められなかった申請者が異議を申し立てた際、審査に参加する学識者や司法関係者だ。日本の難民認定制度に対する批判が高まり、2005年に導入された。

審査の公平性を高めることが目的だったが、参与員の問題発言は、相次いで報告されている。最近も、コンゴ民主共和国の政府軍兵士から性的暴行を受けたという申請者に、「美人だから狙われたのか」と発言したことが問題になり、法相の上川陽子が「誠に遺憾」と述べたばかりだ。全国難民弁護団連絡会議によると、参与員が申請者に対し、横柄な態度や威圧的な態度をとるケースもあるという。「申請者がうそをついていると決めつけ、とにかく疑ってかかる」。連絡会議の弁護士は、こう憤る。

昨年1年間に日本で難民申請をしたのは191人。難民と認められたのは28人。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の統計によると、同じ年にドイツは約263622人、フランスは24007人、英国は13554人、韓国は57人を難民として受け入れた。申請者に対する認定率は、ドイツ41%、フランス21%、英国33%、韓国1%に対し、日本は03%だった。

法務省は、難民申請者が急増している一因として、2010年に制度の運用が変わり、一定の条件を満たせば、難民申請者も就労が認められるようになったことをあげる。難民申請の審査は、最終的な結果が出るまで数カ月から数年かかり、申請者はその間、生活するすべがなかったからだ。

難民認定された人数は、2000年代では最も多い年で57人、少ない年は6人と、一貫して低い水準にとどまっているのも事実だ。

「難民条約きわめて限定的に解釈」

いま、世界的に注目されているミャンマーのロヒンギャはどうか。長年、ミャンマーからの難民を支援してきた弁護士の渡辺彰悟によると、日本で難民と認められたロヒンギャはこれまで19人。現在、約20人が難民と認められず、ミャンマーへの送還を迫られている。このうち2人は入管施設に収容されているが、2013年には入管施設で死亡したロヒンギャもいる。

 

ミャンマーはロヒンギャを「不法滞在者」とみなし、国籍を与えない、強制労働を課すなど、様々な迫害を加えてきたとされる。しかし、渡辺によると、日本で難民認定されたのは、政治活動の指導者らに限られ、ロヒンギャであることを理由に難民と認められた例はない。

避難したバングラデシュで食料など援助物資に集まるロヒンギャの難民

難民認定をめぐってロヒンギャたちが起こした裁判の判決で、東京地裁は「1992年に約25万人がバングラデシュに流出したときにも、約50万人がミャンマーに残った」などを理由に挙げ、「ロヒンギャに対する差別や不利益な取り扱いが存在するとしても、直ちにロヒンギャ全員について迫害を受けるおそれがあるとすることは困難」とした。

シリアから日本に逃れてきた人たちも、人道的配慮による「在留特別許可」を与えられたものの、難民認定されなかったケースが多いという。難民と認定された場合と異なり、公的な教育や就労の支援は受けられず、在留資格の延長や家族の呼び寄せに関しても、難民認定された場合より立場は不安定だ。

法務省は「個別の事情をみて判断している」としているが、難民認定に詳しい弁護士やNGOは、「諸外国と比べ、日本は難民条約をきわめて限定的かつ恣意的に解釈している」と指摘する。(敬称略)