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「麹町なだ万 福岡別邸」 福岡県となだ万がコラボ、和食の新たな世界へ  

Sponsored by 福岡県 公開日:
支配人の片山美樹さん(左)と調理長の寺田勝裕さん=伊ケ崎忍撮影

「なだ万」が手掛ける福岡県のアンテナレストラン「麹町なだ万 福岡別邸」が1月26日、東京・麹町にオープンした。「老舗はいつも新しい」を社是とする「なだ万」は、福岡県の食材をどのように生かし、魅力を発信するのだろう。和食が世界文化遺産に登録されて10年になる2023年、老舗と福岡県のコラボレーションが生み出す和食の新たな世界を探る。

「なだ万」初のアンテナレストラン、内装には福岡県の伝統工芸品

 1830年創業の老舗日本料理店「なだ万」が、福岡県とタッグを組んでオープンする「麹町なだ万 福岡別邸」。国内28店舗、海外5店舗を展開する「なだ万」が、アンテナレストランを運営するのは初の試みとなる。

地下鉄・半蔵門駅から徒歩3分。書道家・紫舟氏によるロゴをあしらった看板に迎えられ店内に入ると、木を基調とした柔らかく落ち着いた空間が広がる。

2~8人まで利用可能な大小の個室が5部屋あるほか、ホールは30人以上の大人数で貸し切りもできる。接待や家族の顔合わせから、大きなイベント、パーティーまで、幅広い用途で利用が可能だ。

壁には、福岡県の伝統工芸品である『博多織』が飾られ、繊細な細工で木の文様を描く『大川組子』が引き戸や壁に装飾されている。照明には八女の手すき和紙を使い、温かさを感じる。

「文化を含めて福岡県の魅力を発信したい」との思いから、内装にさまざまなこだわりがあると支配人の片山美樹さん。

「お客様がお食事を楽しむテーブルや椅子は、福岡・大川から取り寄せた県産木材『センダン』を使い、贅沢(ぜいたく)なぬくもりが感じられます。店内のコンセプトカラーは、福岡県の鳥にちなんだ『うぐいす色』。目に入るもの、手に触れるものすべてから、福岡県を感じていただけるようにと考えました」

片山美樹さん

「なだ万」と福岡県とのつながりは、県内のホテルに初めて出店した1996年から長く続いており、現在も福岡市内で「なだ万蒼宮」が営業している。アンテナレストランの運営に繫がったきっかけは、202212月に開催した「なだ万」全国19店舗での「福岡県フェア」。福岡県産の食材の豊かさに感動し、「なだ万」ならではの福岡県の味わい方を提案していこうと動き出したという。

海の幸から山の幸まで、豊かな自然が生み出す旨み

提供される料理一品一品に、福岡県産の海の幸・山の幸がふんだんに使われている。

ランチタイムには、福岡県の郷土料理である「かしわ飯」や博多うどんを楽しむ御膳料理、季節の食材を使った福岡旬彩小箱やミニ懐石料理が並ぶ。

ディナータイムには、本格懐石料理をはじめ、はかた地どりや博多和牛、糸島豚(いとしまぶた)を使ったしゃぶしゃぶなどの鍋料理が味わえる。東京にいながら、福岡県の魅力溢れる食を堪能できるのだ。

調理長の寺田勝裕さんは和食の繊細さにひかれて調理の世界に入り、「なだ万」入社後は中国でも腕を振るった。

「世界中で認められている“和食”の文化や伝統を守りながらも、新たな素材に向き合っていく奥深さがあるんです」と和食の魅力を話す。

「和食は出汁のおいしさがすべて」という寺田さん。今回初めて出会った食材も多くあり、食材の豊かさに日々刺激をもらっているという。

例えば、福岡県ではお雑煮に必ず入ると言われる葉野菜の「かつお菜」だ。「汁物にするとしっかりと旨みが出て、出汁の深みが増すんです」

博多うどんの出汁は、トビウオからとる「あご出汁」をベースに、じゃこ、椎茸、鰹(かつお)、昆布を入れて、それぞれの旨みがもっともバランスよく合わさったものを提供している。

「かつお出汁一本で旨みを出す東京のお出汁とはまた違う、複層的な味わいが魅力です。出汁を美味しくとることができれば、調味料は一切いらなくなる。『麹町なだ万 福岡別邸』でも、そんな出汁を生かして福岡県の食材の美味しさを最大限引き出す料理を提供したいと考えています」

寺田勝裕さん

水産物の豊かさもまた、福岡県の大きな魅力だ。

「福岡県はそれぞれ特色の異なる3つの海(筑前海、有明海、豊前海)に面しているため、獲れる水産物の種類が豊富なんです。天然真鯛(まだい)や鰆(さわら)が美味しく、鯛茶漬けもぜひ楽しんでいただきたいです」

はかた地どりは新鮮さを保つため、現地で急速冷凍され、旨みが詰まった状態で届くという。解凍してもドリップ(肉汁)が出ず、旨みが逃げることもない。そうした工夫によって、福岡県でしか出せなかった鮮度の良さを東京でも再現できるのだという。

ほかにも、八女玉露のテリーヌや博多あまおうの甘味と鮮やかな色合いを楽しむブランマンジェなど、デザートに至るまで福岡県産の食材づくし。一品ごとに、福岡県産の食材の幅広さを感じられる。

料理とペアリングする県内のお酒も取りそろえている。利き酒で酒蔵ごとの違いを味わえるのも、当店ならではの楽しみ方だろう。

福岡県の魅力を発信するハブに 「なだ万」の新たな挑戦

 「なだ万」は「老舗はいつも新しい」を社是に掲げ、2020年に創業190周年を迎えてなお、常に新たな挑戦を続けている。アンテナレストランは、まさにそれを体現した例とも言えるだろう。

福岡県産の食材をより深く知るべく、開業前に産地を視察した2人。生産者のもとを訪れ、食材への愛情とこだわりに感銘を受けたという。

「博多和牛がどんな環境で、どんな餌で飼育されているのか。生産されている皆さんの情熱に触れ、これだけ大切に育てられてきたものを料理するという責任感がぐっと増しました」という寺田さん。

「いいものは、素材だけで美味しい。余計なものを足さずに、味を引き出すためにどう調理すべきか、大事なバトンを渡された気持ちです。『麹町なだ万 福岡別邸』は、福岡県の地産食材やお酒を東京の地で提供するという、『なだ万』にとってのチャレンジであり、私にとっても貴重な学びになっていくでしょう」

片山さんは「生産者の皆さんの熱意からたくさんのヒントをいただきました。水産物、農産物が潤沢で、少し郊外まで足を延ばすと、いたるところにビニールハウスがあり、野菜や果物が育っていました。地産地消の仕組みが成り立っていて、循環している地域なのだと強く感じました」と話す。

支配人として目指すのは、『麹町なだ万 福岡別邸』を福岡県の魅力を発信するハブにすることだ。

「内装には、大川組子や博多織、小倉織を、料理を彩る器には、小石原焼、上野焼を用いるなど、『福岡の匠の技』を体感いただけます。福岡県のものに触れることで『現地を訪れてみようかな』と思っていただけたらうれしいです。そして、『なだ万』の味とのコラボレーションによって、福岡県の食材の魅力をますます引き立て、伝えていきたいと思っています」

寺田勝裕さん(左)と片山美樹さん。店内は都心にありながらもほっとする空間だ