命を奪う政治の不条理を批判 国際社会に行動呼び掛ける
国境なき医師団(MSF)は、医療援助だけではなく「声を上げる」ために作られた組織でもあります。1967年にナイジェリアで内戦が勃発した際、援助活動に参加したフランス人医師らが、国際赤十字の「沈黙の原則」を破り、軍の非人道的行為を告発したことが設立の発端だったのです。
ルワンダやボスニア・ヘルツェゴビナの虐殺、西アフリカのエボラ出血熱、アフリカや中近東から欧州を目指す難民らの海難事故──。50年間、数えきれないほどの紛争や大災害、迫害、感染症などの実情を訴え、国際社会に行動を呼び掛けてきました。
時には証言と医療援助の間で、苦しい選択を迫られる事態も起きました。1984年にはエチオピアで、軍事政権による援助物資の悪用を批判し、国外退去を余儀なくされました。反対に医療援助を優先し、告発を一時見送ったことも。しかしそんな時も、スタッフは負傷者の話を聴き取り、将来の証言に備えたといいます。
1999年、MSFがノーベル平和賞を受賞した時のスピーチに、こんな言葉があります。
「言葉が常に命を救えるわけではありませんが、沈黙は確かに人を殺し得ます」
民間の支援が自由な証言を支える
近年、紛争地域で医療への攻撃が深刻化し、住民の医療へのアクセスが脅かされています。高額な医薬品を買えずに失われる命、治療薬のない病に倒れる命もあります。
MSFが声を上げるのは、こうした「医療」だけでは救えない命を救うため。世論を動かすことで、非人道的な攻撃に歯止めを掛け、薬価を引き下げ、新薬を開発するといった、より広い社会課題の解決を目指しています。
MSFは各国政府の助成金などに依存せず、活動費のほとんどを民間の寄付金で賄っています。個人や企業・団体から寄せられた支援こそが、特定の国家・組織の利害にとらわれない自由な証言を可能にしているのです。
MSFは、これからも人道危機に直面する人びとに寄り添い、医療・人道援助を届けていきます。人道的な行為に境界はないという思いを一人でも多くの方と共有し、ともに現状を変えることができればと願っています。
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