ネットの世界は、動物の写真であふれんばかりだ。とくに、猫が多い。
ならば、ぜひ自分のペットをきちんとした肖像写真に末永く残したい。それも、プロに頼らずに――そう思ったときは、あなたのスマホの出番だ。
最近は多くの機種が、必要なハードやソフトをすべて備えている。きっと、最愛の友の素晴らしい写真ができるに違いない。
そのためには、撮影場所や光線の加減を考えてみよう。それと、忘れてはいけないことがある。その場の主役は、あくまでもペットだということだ。けしかけたり、ストレスを与えたりしてはいけない。レンズを通してかわいい個性が輝く瞬間を、ひたすら待とう。
成功への手引きを作ってみた。
■計画を立てよう
まず、どこで撮影するか。相手の動物にもよるが、ペットが落ち着く、慣れたところがよいだろう。
次に、いつ撮影するか。専門スタジオのやり方にならうなら、ペットがよりリラックスしている時間をあてよう。例えば、食事を済ませたすぐ後とか、まさにお昼寝をしようとしているときだ。
そして、背景。余計なものはできるだけ片付けておく。適当な大きさの布で後ろを隠せば、それだけ被写体に視線が集まることになる。
ごく自然に跳びはね、生き生きとしている様子を撮りたい? それなら、いつも散歩する公園や裏庭にスマホを持っていこう。
でも、時間をタップリかけ、辛抱を忘れないことが大切だ。予測できない動きをするかもしれない。こちらの思うようにはしてくれないことだってある。そんなときは、相手のしぐさからヒントをもらうつもりで構えるのがよい。完璧な一コマを撮るまでに、何十回もシャッターを切る覚悟もしておこう(別の機会に繰り延べる必要だってあるかもしれない)。
■光をどこから
シャッターをセットする際に、フラッシュを使うのはやめた方がいい。ペットを驚かすだけではない。網膜に反射し、目の色が不気味な赤か緑になってしまうのが落ちだ。
屋外はもちろん、屋内でも窓から差し込む自然光を利用するのが、まずはお勧めだ。屋内なら、クリップで留める安価な照明具で、撮影場所を柔らかく照らすのもよい。ただし、影がどこにできるかに気をつけながら、光源の位置を決めねばならない。
■カメラ機能の設定
一眼レフのデジタルカメラとまったく同じとまではいかないかもしれないが、この10年でスマホのカメラ機能は著しく改善された。最近の機種なら、一眼レフと同じようなポートレートモードがある。手前の被写体にピントを絞り、背景は優しい感じにぼやけさせることができる。
アップルのiPhoneやグーグルのPixelの多くには、このモードが付いている。サムスンなどの機種にも、似たような機能がある。
カメラアプリのいくつかには、高速連写のバーストモードが設けられている。これを利用すれば、後で最もよいコマを選び出すことができる。アップルの新しいiOS14なら、側面の音量ボタンを使う。現在のPixelなら、トップショット機能に似たようなモードがある。
撮影の前に、注意しておくことがある。画像の解像度が、最も高くセットされていることを必ず確認しよう。
■よいポーズを引き出そう
そして、本番。創造的なアングルを試してみるのもよい。でも、心のこもったできばえになることが多いのは、目線の高さをペットに合わせ、その目を見据えて写したときだろう。
助けがあれば、撮影はもっと楽になる。自分がスマホを構えているときに、もう一人が好物を与えたり、好きなおもちゃで遊んであげたりすれば、よいポーズを引き出せるに違いない。
もし、1対1なら、三脚とセルフタイマーの出番だ。写す直前まで、自分自身でご機嫌をとることができる。利用するのは、スマホのタイマー機能だけではない。シャッターを切るには、ブルートゥース経由でスマホを遠隔操作する手もある。iPhoneなら、ケーブル付きイヤホンの音量ボタンで作動させることができる。さらに、いくつかの音声アシスタントアプリでも対応できる。
■撮影写真の編集
撮った写真を仕上げながら、もっとよくしてみよう。ほとんどのカメラアプリには、構図のゆがみや色合い、露出の是正機能が付いている。トリミングして、背景にある不要なものを消すこともできる。
手持ちのソフトにはない修正をしたい場合は、第三者アプリも検討してみたい。うまく消えないごみのようなものも処理できる。
忘れてはならないのは、各種フィルター機能の利用だ。まるで別の写真のように変わり、見た感じもぐっとよくなる。
ピントが少し甘かったり、色がうまく出ていなかったりしても、諦めることはない。創作意欲をかき立てれば、ペットの肖像写真を芸術作品にすることだってできるかもしれない。(抄訳)
(J.D.Biersdorfer)©2020 The New York Times
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