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生活かつかつ、それでも高齢の親に仕送りするアメリカの中年世代

ニューヨークタイムズ 世界の話題
Many adults give financial support to their parents, despite feeling a strain on their own budgets, new research finds. About a third of adults in their 40s, 50s and early 60s said they had given a parent money in the past year, according to a new survey from the research arm of AARP, the advocacy organization focused on older Americans. (Till Lauer/The New York Times)   -- FOR USE ONLY WITH NYT STORY SLUGGED ADULTS SUPPORTING PARENTS BY ANN CARNS FOR JAN. 31, 2020 -- ALL OTHER USE PROHIBITED. --
Till Lauer/©2020 The New York Times

多くの大人たちが家計の負担を感じながらも、親に経済支援をしていることが新たな調査でわかった。

米国の高齢者団体「AARP(全米退職者協会)」の調査機関が高齢の米国人を対象に調べたところによると、40代と50代および60代前半の約3分の1が過去1年間に親に金銭を渡したと答えた。

そのざっと半数は少なくとも1千ドルを、また約20%は5千ドル以上を渡したと言っている。そうしたおカネは多くの場合、食費や住居費に当てているため、毎月ないし毎週渡されていたことが調査で判明した。

ピュー・リサーチ・センター(訳注=ワシントンに拠点を置くシンクタンク)によるこれまでの調査でも同じように、65歳以上の親がいる成人の約3分の1が親たちに金銭を渡していたことがわかっている。AARPの調査が掲載された雑誌「AARP The Magazine」の上級編集者ジョージ・マンズによると、それは親に渡された現金とその使途についてのより詳しい調査である。

「まさに基本的な生活必需品のためだ」とマンズは指摘し、「両親がクルーズ旅行に行くための資金援助ではない」と語った。

この調査で挙げられた金額は「粛然たるもの」とマン。親に経済支援をしている成人の4分の1以上が、自分の家族に「高い」レベルの財政負担をかけていると言うのだ。中年期にある成人の3人に1人が「かつかつ」とか、必要経費が「足りない」とし、自分自身の退職後のための蓄えをする余裕があまりないと言っている。

AARPの調査によると、中年期の成人の多くは成人した子どもたちもサポートしている。成人した子どもと高齢の親がいる人の19%は、その両方に経済支援をしている。

AARPの調査は昨年秋に行われ、40歳から64歳の成人1508人に対して電話で尋ねた。

他の調査で判明したことだが、米国人は、成人した子どもは高齢の親をサポートするべきであると圧倒的に信じている。このことは、なぜそれほど多くの人たちが自身の経済的生活にリスクを負いながらも、親たちへの経済支援をしているかを説明する役に立つ。マンズが言うには、結局のところ、「彼らが自分を育ててくれた」ということ。

この調査結果は、多くの中年が自分自身の貯蓄の問題にどう直面しているかの説明の助けになる。連邦準備制度理事会が昨年発表したところによると、リタイア前の米国人の4人に1人は退職後の貯蓄や年金がない。

以下は、高齢の親への経済的支援に関するいくつかのQ&A(質問と回答)である。

Q:両親を支援しつつ、どうすれば自分の退職後のための蓄えをつくれるか?

A:人は、親に助けを求められると、すぐにイエスと言う傾向がある。しかし、自分の生活費と退職後の計画を検討し、今後どれだけ現実的におカネを使えるか、計算してみることが重要だ。大人は、「自分自身の経済状態を傷つけることなく、どれだけ援助できるか」を自分に尋ねるべきであると金融心理学者のブラッド・クロンツは言う。状況を分析するために、オンラインの退職計算アプリを使うか、余裕があるならファイナンシャルプランナーに相談してみてはどうか。

ニューハンプシャー州ウィンダムのファイナンシャルプランナー、ジュリー・フォーティンは、経済支援が可能だと判断したら、その限度を事前に設定しておくために、支援できる金額とその使途をはっきりさせるのがいいと言っている。

もし余分なおカネがあまりなくても、援助しようと決意するなら、キャッシュを渡すために、何らかの節約――たとえば、新車を買うのを先延ばしにするとか――をする必要があるかもしれない。自分の退職後に備えた蓄えを減らすことを検討することもできるだろうが、貯蓄をなくしてしまうのは賢明ではない。

「自分自身の貯蓄をやめてはいけない」とエリン・ウッドは言う。ネブラスカ州オマハのプランナーで資産アドバイザーでもある。「両親が置かれているのと同じような状況に陥りたくないのならば」

Q:両親に、経済状態の詳細を尋ねたくない場合は、どうすればいいのか?

A:「大半の人は、両親とおカネについて話をする自信がない」とウッドは言う。それに、親たちは経済的な助けを求めることに困惑や恥ずかしさを感じるかもしれないし、その場合は話し合うのがいっそう難しくなる。

したがって、会話はぎこちないものになるとは思ってほしいが、とにかく話し合うこと。

ウッドによると、誤解を避けるためには、最初に親の方から援助を求めてきた時に話し合いを始めるのがベストである。彼女は、両親に経済状態を詳しく尋ねるのをためらってはいけないとし、「親であれ、誰であれ、白紙の小切手帳を渡すべきではない」と言うのだ。

おカネが足りない理由を特定することは、問題の解決策を見分ける手助けになる。高価な処方箋(せん)であれば、ジェネリック薬を使うとか、おカネを節約できるスマホのアプリを利用するといった選択肢の特定に役に立つ。もし両親が娯楽におカネをたくさん費やしているとすれば、退屈している可能性がある。できるのなら、もしかするとパートタイムの仕事かボランティア活動など、組織化された活動をする必要があるかもしれない。

かなりの額の、継続的な支援が必要な場合であるなら、専門家たちは、きょうだいや家族の他のメンバーと会合を持って誰がどれだけ援助できるか話し合うことを提案している。資金が足りないのであれば、家の維持管理や修繕、あるいは利用可能な財政支援制度を探すのを手伝うといった別の形で援う助できるかもしれない。感情的になってしまうというのなら、話し合いが建設的になるよう、中立の立場にある人に手助けしてもらうのがいいかもしれない。家族が信頼する弁護士かファイナンシャルアドバイザーだ。

Q:高齢の両親を助けるために、利用可能な他の金融オプションは何か?

A:アドバイザーによると、親たちは自宅を売って小さな家を買うとか、もっと手ごろな家を借りるか、空き部屋があるなら、子どもたちの家に引っ越すことを検討してもいいかもしれない。そういうことはしたくないが、自宅に相当の価値があるなら、リバースモーゲージは選択肢の一つになるかもしれない。自宅を担保に、銀行からおカネを借りるのだ。

米連邦の規則だと、借り手は少なくとも62歳以上で、その金額には制限がある。融資を受ける前にカウンセリング(助言)が必要だ。固定資産税、保険、維持費の支払いやその他の要件を満たせなかった場合には担保物件の差し押さえのリスクがある。

「全米高齢者問題評議会(NOA)」はウェブサイトで資金管理に関する提案を行っている。「経済診断」のツールや公衆衛生、栄養、住宅に関する利得の最大化に役立つものなどだ。(抄訳)

(Ann Carrns)©2020 The New York Times

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