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厚切りジェイソンが語る「異論と議論のススメ」

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 小学生で親にプレゼン

――子供の頃からすごく理屈好きだったとか。

そうですね。すごく面倒くさい子どもだったと思います。両親ともよく口論していたね。何か言われてもだいたい反論して、自分が求める方向に持っていこうとしていて。

小学生のとき、自分のEメールが欲しかったけど、親にだめといわれたので、自分のEメールを持つことによって何のメリットがあるのかを説明するプレゼンをつくりました。

 ――そのプレゼンは通りました?

通ったですね、一応。

 ――そういうのって、どこで学んだんですか。

学んではないです。当たり前じゃないですか。欲しいものを手に入れるために。ずっと議論していたので、どんどんその傾向が強くなったんじゃないですか。

 ――ご両親から学んだことで、今の自分にすごく影響を与えていることはどんなことですか。

ひとつ具体的に覚えているのは、資産運用の話。

例えば、手元に1億円あって、金利が6%だとして、1億円を使ってしまうか、毎年600万円の利子が入ってくるのとどっちがいいかといった話を、ゲームのモノポリーについていたおもちゃのお金を使ってお父さんが説明していたのを覚えていますね。

それがずっと頭の中にあって、お金を使わないで投資したらより増えるんだという考えは若いときからずっとありました。

 子ども同士で議論させる 

――アメリカでは学校でも、子供の頃から考えたり議論したりすることが多いと聞きます。

アメリカはわりとそういうのがあるんですね。show and tell(ショー・アンド・テル)というのが代表的なやつで、幼稚園でもやりますけど、好きなものを持ってきて、それがなぜ好きなのかを紹介するんです。

――自分を表現する力がそうやって鍛えられていくのでしょうね。

そうでしょうね。

たぶん人生の全てがそうだと思うんですけど、結局は場数ですよね。たくさんやっていけばできるようになり、一回もやらないとできるようにならない。そういう当たり前の話だと思います。

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――今、自分のお子さんに対しても、そういうことを意識しながら接していますか。

そうですね。できるだけ考えさせて自分の意見を言うような。何が好きなのか、なぜそれが好きなのか、どうなりたいのか、なぜそうなりたいのか、そういう会話を日々しています。うちでは「何となく」というのはだめ。理由まで言えないといけません。

 娘が3人いて、6歳、3歳、1歳。長女と次女が「私はこれが欲しい」「私もそれがいい」とけんかになったとき、「じゃあ相手を説得しろ」と言います。ぼくが勝手に「今回はこう、次回はこうしよう」とやったら、何の気付きにもなりません。

 違いは不快、でも安定には成長はない

――いま、聞きたい意見だけを聞いて心地よくなっている風潮が、とくにネット空間の中にあります。

そうですよね。なんの意味もない。時間の無駄ですね。真実かどうかを問わずに聞きたいことを聞くだけだったら、意味がないんじゃないですか。

 自分と違うことって、不快なんですよ。自分と同じが楽、自分と違うところがカオス(混沌)。カオスは一番成長するんだけど、一番不快なんですよね。それはみんな嫌がる。嫌がるのは当然。でも毎日同じことをしていたら、安定は安定なんだけど、成長は何もないんだよね。

日本は安定を異常に優先するから、少しでも違うものが現れると、皆が不快な思いをして、それを嫌がるから安定がいい、変更しない方がいい、となる。

 ――違う意見を言われると、そのこと自体を不快に感じてしまうことはあります。

日本人だけじゃなく、たぶん人間はみんなそう。でもアメリカ人はそこで反論する。自信を持って。違うことを言われたら、自信を持っていたら「いや、ちがうよ」と言い返せるじゃないですか。日本人は言い返さない。

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世界を知れば活躍の場増える 

――著書の中で、「日本を変えたい」と書いていました。

日本を変えたいというよりも、自分が生きたことによって世界の流れを変えたら、生きがいになるじゃないですか。

どの国にもよしあしがあります。アメリカもいいこともあれば悪いこともあるし、日本もそうですよ。理想的なところ、完璧なところは存在しない。僕は今日本にいるから、日本を変える。それだけですよ。

――GLOBE+は、世界で起きていることの意味を日本の読者に伝えたいと思っています。世界を知る意味はどこにあると思いますか。

知らなくてもいいんだけど、知っておいたほうがより活躍できる場面は増えるから、知っている人の方が有利。

――さまざまな講演も行っています。どんなことを伝えていますか。

これから活躍できる人は、自分で考えられる人と、その考えを相手に伝えられる人。この2つさえできていたら、わりと活躍ができますね。いい考えがあったとしても、それはちゃんと伝えられなければ考えていないのと同じ。場数をたくさん踏めば、できるようになります。

 ――これから、その恵まれた知名度をどう生かしていきたいですか。

特に新しいことを目指しているわけじゃないです。いままでやってきたことで若い人たちのインスピレーションになれたら、自分もそれでうれしい。

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あつぎり・じぇいそん/本名Jason David Danielson19864月アメリカ生まれ。17歳でミシガン州立大に飛び級入学。IT企業の役員を務めながら1410月にお笑い芸人としてデビューした。ワタナベエンターテインメント所属。AERA(朝日新聞出版)で「厚切りジェイソンの厚切りビジネス英語」連載中。