「消費者が求める水準が高い日本は重要なマーケット」
「台湾は人口が密集している島国で、資源も豊かではない。だからこそ、人の力とイノベーションにかけているのです」
そう話すのは、台湾貿易センターの黄志芳・会長。「台湾も日本も今年の夏は酷暑、ヨーロッパでは水害、ハワイでは大規模な火災が発生しました。地球温暖化が喫緊の課題となっているなかで、特にDX、そしてGXを推進することは大変重要になってくると考えています」と話す。
台湾の半導体メーカーTSMCが熊本県に工場を新設するなど、台湾企業の日本への投資も注目されている。
「台湾にとって、日本は非常に重要なマーケットです。なぜなら日本の製品の品質やデザイン、スタイル、そして消費者が求める水準はとても高いので、日本市場に受け入れられたら、世界のどこでも受け入れられると思うからです。逆も然りで、日本の企業の方々が東南アジアやその他の国々に進出したい場合、まず台湾の市場の反応をみてから展開していきますよね」
その上で、コロナ禍の日本から台湾へのワクチン寄贈などに触れ、「他の国とは比べられないほど、日本と台湾の絆は深いと思います」と話した。
素材の繊維を自動判別、古着もペットボトルのようにリサイクルへ
エキスポの会場を歩くと、衣食住・交通・娯楽・医療などのあらゆる日常生活の場面で最新のテクノロジーが応用されている様子がわかる。
例えば、機能性繊維を生産しているSINGTEX社が展示していた、スマート古着回収箱「REFIT」。タッチパネルの指示に従い、不要になった衣服を所定の位置にかざすと、近赤外線によって素材の繊維が自動で判別される。回収箱の蓋が開いたら、その中に服を入れるだけでOK。気軽に、そして効率的に古着のリサイクルができる。会場にあったのはポリエステル100%の回収箱だったが、綿の回収箱もあり、素材別にリサイクルができるようになるという。
同社創業者の陳國欽氏は「ペットボトルのリサイクルが常識になっているように、古着のリサイクルを普及させたい。着なくなった服や古着が全部リサイクルできるとしたら、地球への負担も減り、我々が目指すユートピアに近づくと考えています。それは、一人ひとりが『自分ごと化』して行動する”You”topiaです」と思いを語る。
「日本の皆さんは教育がされていて、リサイクルへの関心も高いけれど、まだまだ服のリサイクルは進んでいないと思います。だからこそ日本市場に進出していきたい」
現在、スポーツセンターやマラソン大会の会場などに設置されています、今後はコンビニやスーパーといった、より消費者がアクセスしやすい場所に常設することも視野に入れているという。
自動調光で室内を快適に、建物のエネルギー消費量を大幅カット
大手電機メーカー・鴻海グループの群創光電(INNOLUX)が発表したのは「スマート調光液晶ウィンドウ」だ。自動調光、自然採光で室内を快適に保つことができ、例えば、暑い日中にはウィンドウが濃い色に変わり、室内に届く光量が減る仕組みだ。
建物のエネルギー消費量を大幅に削減させ、温室効果ガスの排出を抑えることにも貢献できる。 紫外線カット率は99.9%だという。
同社ゼネラルディレクターの許志忠氏は「カーテンだとほこりがたまるなど、洗濯する必要がありますが、この商品は掃除も簡単です」とアピールする。ニーズに合わせて様々なサイズや形状に加工することもできるという。
INNOLUXのINNOはイノベーション、LUXは照度の単位ルクスに由来し、もともとは液晶パネルや端末液晶ディスプレイを生産してきた。環境問題に貢献するため、独自の技術でスマート建築分野に進出した。
INNOLUXが掲げる「サステイナブルな未来」とはどのような未来なのか。「台湾でも日本でもDXやGXが今後のキーになることは間違いないでしょう。我々の商品が環境にやさしいビルや家、病院、美術館、空港など、様々な場所で使ってもらえると嬉しいです。ぜひ連携しながら“環境に優しい未来”に向けて歩みを進めていきたいです」と許氏は期待を込めた。
会場には、台湾で革新的な商品に贈られる「台湾エクセレンス」を受賞した47の企業の技術で環境に優しい「Smart Living」を体感できるコーナーも。スマート調光液晶パネルとフィルムを組み合わせ、快適な光を体感できる「光のマジック体験」や、デジタル上の分身であるデジタルツインが試着する「バーチャル試着室」、仮想空間で台湾や台湾製品を体験できる「Taiwan Excellence World VR体験」があり、多くの来場者で賑わっていた。「台湾エキスポ」が開かれた3日間で2万人以上の来場者があったという。
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