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「詳細把握しておらず…」国交省の見解は? 電動車いす利用者へのJR対応問題

World Now 更新日: 公開日:
国土交通省=東京都千代田区
国土交通省=東京都千代田区

担当する鉄道サービス政策室はGLOBE+の取材に対し、文書で「本件に関する詳細について把握しておりませんのでコメントすることはできない」と回答したが、無人駅であっても障害のある人が円滑に利用できるようにすることが重要だとの認識を示唆した。

具体的なやり取りは以下の通り。

――無人駅の来宮駅をめぐり、車いす利用者が当日、JR東に対して駅員の介助を含めた対応を求めたことは過剰な要求だったのでしょうか。

本件に関する詳細について把握しておりませんのでコメントすることはできませんが、障害のある方々を含め、誰もが安全かつ円滑に鉄道サービスを利用できる環境を整備することは大変重要であると考えております。

このことから、国土交通省としては、やむを得ず、駅を無人化する場合であっても、可能な限り、安全かつ円滑な利用を確保できるよう鉄道事業者を指導してまいりましたが、引き続き障害のある方を含めて全ての利用者が安全かつ円滑に鉄道サービスを利用できる各種取組を引き続き進めてまいりたいと考えております。

――JR東側が当初、応対した駅員が「来宮駅への案内は難しい」と発言するなど、事実上、車いす利用者に対して来宮駅の降車を拒否するような対応をしましたが、こちらは障害者差別解消法の合理的配慮に照らして適切だったのでしょうか。あるいは何らかの課題や問題があったのでしょうか。

障害者差別解消法第8条2項においては、「事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない」とされております。

また、「過重な負担」については、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」において、「過重な負担については、行政機関等及び事業者において、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。行政機関等及び事業者は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい」

(要素等)
  ・事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)
  ・実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)
  ・費用・負担の程度
  ・事務・事業規模
  ・財政・財務状況

とされております。

今回の事象が合理的配慮の観点に照らして適切であったかについてはこれらの要素等について総合的に判断することが必要であるところ、本件に関する詳細について把握しておりませんので、コメントすることは控えさせていただきます。

なお、障害者差別解消法第8条の合理的配慮について、同法第11条に基づいて国土交通大臣が作成した対応指針において、

(2)合理的配慮の提供の具体例

②過重な負担とならない場合に、提供することが望ましいと考えられる事例
・ 障害のある方が列車に乗降する、又は列車の乗降のために駅構内を移動する際に手伝う。
・ 券売機の利用が難しい場合、障害の特性に応じ、窓口での発売や券売機操作を手伝う。

とされているところです。

――車いす利用者がバリアフリー法に言及し、来宮駅で降車できるようJR東に助力を求めたところ、駅員が「3000人以下の駅は対象ではない」と答えようですが、これが事実だとしたら、このような対応は適切だったのでしょうか。法的には適切でも、サービス会社、公共交通機関的な視点からもご見解をお聞かせ下さい。

上記においても申し上げているとおり、本件に関する詳細について把握しておりませんので、適切か否かについては、個別具体的な対応について総合的に判断することが必要であることから、コメントいたしかねますが、国土交通省としては、これまでも、可能な限り、安全かつ円滑な利用を確保できるよう鉄道事業者を指導してまいったところであり、引き続き障害のある方を含めて全ての利用者が安全かつ円滑に鉄道サービスを利用できる各種取組を引き続き進めてまいりたいと考えております。

――仮に今回、JR東側の対応に何らかの問題や課題があるとして、国土交通省としてJR東に対し、何らかの指導や意見聴取をしたり、あるいはほかの鉄道会社も含めて、改めて障害者に対する対応について何らかの要請をしたりすることを検討していますでしょうか。

国土交通省としては、これまでも、可能な限り、安全かつ円滑な利用を確保できるよう鉄道事業者を指導してまいりましたが、引き続き障害のある方を含めて全ての利用者が安全かつ円滑に鉄道サービスを利用できる各種取組を引き続き進めてまいりたいと考えております。

※記事冒頭で配信時に地名の誤りがあり訂正しました。「問題の経緯」で「神奈川県の熱海」とあったのは「静岡県の熱海」の誤りでした。