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世界の人道危機を知って欲しい 国境なき医師団が「エンドレスジャーニー展」開催

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「エンドレスジャーニー。それはわくわくする冒険の響き? しかし、その旅の真実とは?」

問いかけにいざなわれて入口から中へと進むと、最初に現れるのは「What is this?」のクエスチョンとともに展示されたメジャーなどの品々。それらが意味するものは何か、最後まで見終わるころには判明している仕掛けだ。

最初に展示された5つの品。何に使われるのか考えながら展示を見る

さらに進むと、展示スペースには「外傷」「母子保健」「心の傷」「栄養失調」「感染症」をテーマにした写真と、その被写体となっている人たちによる「証言」が掲げられている。人道危機に直面している人々が何を求めているのか。彼らの生の声が痛切に響く。

難民、国内避難民となった人たちの写真。彼らの「証言」も展示されている

その奥には、「アフリカ・チャド湖周辺」「地中海」「アジア・ロヒンギャ難民」などの人道危機の現場を切り取った写真が大写しに。粗末なボートでヨーロッパを目指す人々の姿を目の前にすると、誰もが思わず無言になってしまうだろう。そばには、亡命に失敗した人々の収容施設が再現されている。一人当たり70センチ四方しかないという狭さを中に入って体験することができる。中では、実際の収容施設で録音された音が流れている。

粗末なボートで大海を渡る避難民の姿に驚かされる

また、ロヒンギャ難民らのために国境なき医師団が設置している「通気改良型ピット式トイレ」や、現地の人が一日に必要とする水20lを運ぶことの大変さを痛感できる展示も用意。過酷な環境の中で、日々生きていくことがどれほど大変か、身をもって知ることができる。

通気改良型ピット式トイレ。日本の昔の和式トイレと同じ仕様で、洋式と比べて掃除も楽で衛生面にすぐれているそう
20lの水が入ったタンクを持って運ぶのはどのくらいの重労働か。身をもって体感できる

「国境なき医師団の活動紹介コーナー」では、現地で活躍する四輪駆動車や、膨らませて使う外科治療用エアーテントなどを紹介。さらに、集団予防接種キャンペーンの現場で使う用具なども展示されている。

展示されているエアーテント。現地ではこの中で外科手術が行われることもある

映像ルームでは、国境なき医師団が現地で撮影した世界6つのエリアのリアルを伝える映像や、3Dによって現地の様子を体感できる。

現地の様子を3Dで垣間見ることができる

最後の部屋には、詩人・谷川俊太郎氏と美術作家・諸泉茂氏によるコラボレーション作品「手当てする」が展示されている。国境なき医師団の担当者は「展示を見て感じたことをぜひ言葉に書き記してほしい」と話していた。

最後の部屋は、谷川俊太郎さんの詩を通して、参加者も一緒に世界の人道危機について考える空間となっている

会期中は毎日14:00、16:00、18:00に海外派遣スタッフなどによるミニトークセッションを開催。12月21日には、いとうせいこう氏によるトークイベント、12月22日には、手術室看護師の白川優子さんによるトークイベントが開催される。

会場は東京都・千代田区のアーツ千代田3331。入場料無料。12月22日まで。

(取材・文・写真/松本玲子)