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子どもの吃音治療で注目、「リッカムプログラム」とは

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オーストラリア吃音研究センターのマーク・オンスロー。棚には吃音がある子どもの患者向けに用意したおもちゃが並ぶ=大室一也撮影

吃音には、脳損傷などによる獲得性のものがあるが、多くは発達性だ。幼児期に発症する場合がほとんどで、7~8割が自然に治るといわれる。

発達性の吃音は、「ぼぼぼくは」と音を繰り返す「連発」、「ぼ――くは」と一部を伸ばす「伸発」、「……ぼくは」と詰まる「難発」の3種類ある。

幼少期は連発と伸発が主で、その後は、難発が増えるとされる。症状には個人差があり、現れ方にも波がある。発話と関係ない動きを体に加える「随伴症状」などが出ることもある。

2~5歳くらいに発症する場合が大半。7~8割程度は自然に治るとされるが、成長しても症状が残る例もある。全人口の約100人に1人が吃音で、文化や言語に差はなく、斉唱や歌では出ないといわれる。

日本では、耳鼻咽喉科やリハビリテーション科などで治療する病院がある。特効薬はないものの、医師や言語聴覚士から吃音軽減訓練などを受ける。言語聴覚士が1997年に法律で国家資格化され、2年後に国家試験が始まった。

教育面では、子どもたちが決められた日時に通う通級指導学級「ことばの教室」(ことばときこえの教室)がある。

2013年に日本吃音・流暢性障害学会が発足。昨年7月には、広島市で国際的な学会や吃音者団体との世界合同会議(大会長=川合紀宗・広島大学大学院教授)が開かれた。

世界的にも珍しい吃音の研究・臨床機関が、オーストラリア工科大学(シドニー)付属の「オーストラリア吃音研究センター」。スタッフは11人で、言語病理学や臨床心理学の研究者が計6人おり、研究や臨床をしている。残り5人は研究助手だ。

創設者でディレクターを務めるマーク・オンスロー(65)は、シドニー大学にいた時、就学前の吃音がある幼児向けの治療法「リッカムプログラム」を同僚と開発した。吃音がある幼児にフィードバックすることが特徴の一つ。例えば、「つっかからずにしゃべれたね」「とてもスムーズに話せたね」などと声をかける。治療を受けた多くの児童がすらすら話せるようになるという。

日本でも言語聴覚士が学び、広がりつつある。オンスローは「大人になると、話すのを恐れるようになる。幼少期のうちに吃音を治療することが大切」と話す。

国立障害者リハビリテーションセンター(埼玉県所沢市)は、幼児の吃音支援や治療のガイドラインを作ろうと、16年から福岡や金沢など全国5地域で、3歳児や3歳6カ月児の健診受診者約2000人にコホート調査(固定した集団の追跡調査)を実施した。4歳までの発症率は約10%で、オーストラリアの同種の研究と同様の結果が出ており、吃音には文化や言葉に依存しない発症要因があることが裏付けられた。

また、全国6地域の幼児計50人ほどを対象に、楽に話せる環境を整える従来の治療方法と、リッカムプログラムを比較したところ、ともに同程度有効なことが分かったという。自然治癒もあるなか、幼児に吃音が現れた場合、治療はいつごろ始め、どの治療法で、どの程度の期間続けていくのがよいかといった点を検討。ガイドラインをまとめ、夏の学会で発表する予定だ。