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OSINT(オシント)とは?かつて諜報など活用、今は誰もが担い手 「特定屋」問題も

World Now 更新日: 公開日:
ウクライナの製鉄所「アゾフスターリ」の衛星画像
ウクライナの製鉄所「アゾフスターリ」の衛星画像=プラネット・ラボ提供

これまでオシントは、主に軍事分野で活用されてきた手法だ。諜報機関が、テレビ、新聞や雑誌、ラジオなどのメディアの情報を使って分析していた。

だが、ネット上の情報が飛躍的に増え、それを分析するための道具も出てきたことで、だれもが担い手となりうる時代になった。

2000年代にツイッターやフェイスブックなどソーシャルメディアが誕生し、スマートフォンが広がったことで、世界の情報がリアルタイムに共有できるようになったことが大きなきっかけだ。

代表的な手法は、ジオロケーションと呼ばれる動画や画像の撮影場所の特定だ。文字や建物、道路の形、山の稜線などわずかな手がかりをパズルのように組み合わせ、グーグルマップや衛星画像などの情報とも照らし合わせて、いつ、どこで撮られたものかを調べる。

木や人から伸びる影から、撮影時間を推測できるツールもある。攻撃による地面の穴の形や兵器の残骸などから兵器を特定することもある。

それぞれの人が得意な分野や技術を生かし、連携して情報を収集・分析し、集約していくところに特徴がある。

近年では、米ニューヨーク・タイムズが、オシントの手法を生かした専門チームを設けるなど、報道現場や人権団体などでも活用が広がる。

ただ、こうした公開情報は使い方を誤れば、問題も起きかねない。日本では、ソーシャルメディアなどの断片的な情報から事件の容疑者の経歴を調べて公開したり、書き込み主を特定して攻撃したりする人は「特定屋」と呼ばれ、以前から問題になってきた。

「特定屋」の動きについて、サイバーセキュリティーに詳しい明治大学の湯浅墾道教授は「そうしたサイトの多くには広告が貼ってあり、広告収入を得ているはずだ。ビジネスモデル化している面もあるのではないか」とみる。

2019年には、アイドル活動をする女性がソーシャルメディアに投稿した写真の瞳に映り込んだ景色から自宅を特定し、待ち伏せして襲いかかった男が逮捕される事件も起きた。

サイバーリスクが専門の東京海上ディーアールの川口貴久・主席研究員は「オシント自体の価値は中立的で、それをどう使うかが大切だ。目的は何なのか、その妥当性は常に問われないといけない」と指摘する。

湯浅墾道氏と川口貴久氏
湯浅墾道氏(左)と川口貴久氏=川口氏の写真は本人提供

日本で欧米のようなオシントは広がるのか。湯浅教授は「現状、日本ではオシントで地道に情報発信をするよりも、ハッシュタグ運動のようなソーシャルメディア上で話題を作るほうが社会が動く。日本は公益的活動をするときの最大の問題は財政力の弱さだ。オシントを継続的に取り組むためには、財政的に自立できる仕組みを作れるかが課題となるだろう」と話す。