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「金満商法」パリ・サンジェルマン 二極化で増える大味な試合

[第100回]

8月、クラブ会長と入団のおひろめに臨んだネイマール(右)
Photo:AP



クラブ経営でも「フェアプレー」


そうした危機感から欧州サッカー連盟(UEFA)が11年に経営健全化の切り札として打ち出したのが、「ファイナンシャル・フェアプレー制度」だった。文字通り、「財政面で公平に戦おう」。クラブの収入にみあった身の丈の経営を呼びかけ、一時は抑止効果が出ていた。


しかし、オーナーたちの栄光への欲望は抑えきれない。11年からカタールの政府系ファンドが実権を握るPSGと、アラブ首長国連邦のアブダビの投資ファンドが08年に買収したマンチェスター・シティー(イングランド)は近年、移籍金の高騰をあおる2大金満クラブとして知られる。個人の富豪ではなく、事実上国家が石油などから得た無尽蔵の資金で支援にあたっていると問題視されている。


スペインリーグのテバス会長は「PSGとマンチェスター・シティーの振る舞いは欧州の競争をゆがめ、サッカー界に取り返しのつかない損害を与えるインフレの連鎖を生み出す」と非難。両クラブの財務事情を調べるよう求めている。


マンチェスターUを率いるモウリーニョ監督がこんな警鐘を鳴らす。「ネイマールには2億2200万ユーロの価値があるだろう。彼の移籍が問題なのではない。彼の移籍による影響が問題なんだ」


世界からなだれこむ巨額の資金を放任した場合、「勝ち組」と「負け組」の二極化は進む。実力差が歴然とし、勝負の行方が見える「消化試合」が欧州の各国リーグで増える恐れがある。


(文中敬称略)


いながき・こうすけ


1968年生まれ。2月から2度目のロンドン駐在。前回の赴任時に稲本潤一(現札幌)が在籍し、よく取材したアーセナルに黄金期の輝きが失せているのが残念。



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