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中国は本当に嫌われているのか

アフリカ研究者 白戸圭一 07

「嫌われる中国」は願望か

 欧州のメディアがアフリカにおける中国の新植民地主義を強調してきた背景には、自らのアフリカに対する影響力を新興勢力の中国に脅かされることへの危機感があったのではないだろうか。

 では、「中国はアフリカで嫌われている」との通説が日本で拡大した背景は何だろうか。私は、こうした通説は「中国はアフリカで嫌われていて欲しい」という日本人の願望の反映ではないかと考えている。

 14年のBBC調査に戻ろう。この調査では、世界における中国の役割に「肯定的」との評価を与えた日本人は、調査対象となった25か国中最低の3%だった。現代日本人の多くは中国を「脅威」として認識しており、嫌中感情の高まりは周知の通りである。かく言う私も、個人的心情を吐露するならば、現代中国を好きではない者の一人だ。

 しかし、日本を含む先進国メディアが流布した「アフリカで嫌われている中国」という通説は、疑ってかかるべきものである。アフリカにおける中国の実像を見極めるに際して、中国に対する「好き嫌い」の感情に振り回されてはならない。本稿で紹介した二つの世論調査結果は、特定の国に対する好悪の感情が国際社会の現実を見る目を曇らせてしまう危険性を教えてくれる。



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白戸圭一(しらと・けいいち)

三井物産戦略研究所欧露・中東・アフリカ室長。毎日新聞社でヨハネスブルク、ワシントン両特派員などを歴任。2014年より現職。著書に『ルポ 資源大陸アフリカ』(東洋経済新報社、日本ジャーナリスト会議賞受賞)など。京都大学アフリカ地域研究資料センター特任准教授兼任。

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