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中国は本当に嫌われているのか

アフリカ研究者 白戸圭一 07

ナイジェリアでは85%が肯定的

 BBCの調査は、世界24ケ国で無作為抽出した各国の1000人ほどに対し、米国、日本、中国、英国、フランスなど世界の主要国に対する評価について、「A国は世界に肯定的な影響を与えていると思いますか。否定的な影響を与えていますか」と質問する形で行われた。

 この結果が興味深い。アフリカでは、ナイジェリア、ガーナ、ケニアの3ケ国で調査が実施された。いずれも、アフリカでビジネスを進めるに当たって重要な国々だが、ナイジェリア人の85%、ガーナ人の67%、ケニア人の65%が、世界に対する中国の影響を「肯定的」と回答したのである。

 ちなみに、この前年の2013年の調査でも、ナイジェリア人の78%、ガーナ人の68%、ケニア人の58%が中国を「肯定的」と評価した。

 「中国はアフリカで嫌われている」と思い込んでいた日本の読者には、俄かには信じられない、というよりも、「信じたくない結果」ではないだろうか。

南アフリカでは「チャイナモール」と呼ばれるショッピングセンターがにぎわう

 もう一つ、別の調査結果を見てみたい。世界銀行などが後援している「アフロバロメーター」という調査機関が16年10月24日に発表した、アフリカ人の対中感情に関する初の大規模な世論調査結果である。調査はアフリカ36ケ国で、計5万4000人を対象に面接形式で質問する形で実施された。

 「あなたの国に最も強い影響を与えている国は?」との質問に対しては、「旧宗主国」との回答が28%で最多で、次に多かったのが、「中国」の23%だった。そして、「中国が与えている影響は肯定的か否定的か?」と質問したところ、63%が「肯定的」と回答した。さらに「中国の経済支援は良い内容か、悪い内容か?」との問いには56%が「良い内容」と答えたのである。

 結局、この調査でもBBC調査と同様に、全体として中国がアフリカで肯定的に評価されている実態が明らかになった。

評価しないのは「低品質」


 一体、アフリカの人々は、中国の何を評価しているのだろうか。「中国の印象を良くしている要素は何か?」と質問したところ、「中国のインフラ投資や開発」が最多の32%を占めた。以下、「中国製品の安さ」23%、「中国のビジネス投資」16%と続いた。

 興味深いのは「中国の印象を悪くしている要素は何か?」への回答だった。「中国製品の低品質」が35%で群を抜き、以下は「雇用を奪う」14%、「資源の収奪」10%、「土地の収奪」7%、「中国人の態度」6%という結果だった。

 日本では「中国は地元の雇用や資源を奪うので、アフリカで嫌われている」との説が定着している感があるが、アフリカの人々が最も評価していないのは、雇用や資源の問題ではなく、「安いが壊れやすい中国製品」だったのである。これは、アフリカの様々な国々の人から私が聞かされてきた中国評とも合致する結果だ。


(次ページへ続く)

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