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アプリをダウンロード、あっという間に水難救助の現場に

"I downloaded an app.And suddenly, was part of the Cajun Navy"

2017年9月11日付 ヒューストン・クロニクル紙


ハリケーン・ハービーの被災者を小型ボートで救出。米テキサス州ヒューストンで=Reuters

今回とりあげたのは、ホリー・ハートマンという高校教師の手記だ。見出しのCajun Navyとは、2005年にハリケーン・カトリーナがルイジアナ州に大被害をもたらした際、所有する釣り船用small craft(小型ボート)で水難救助にあたった市民に与えられた呼称。Cajunは古くからルイジアナ州南部に住む人々を指す。8月にハリケーン・ハービーがテキサス州を襲った際、ルイジアナ州から多くの市民がボートを牽引したピックアップトラックでテキサス州に行き、search and rescue(捜索救助)に参加したことで再び注目を集めた。では、この高校教師はどのように救助活動に加わったというのだろうか。


手記によると、災害を伝えるテレビニュースにglued to(くぎ付けになっていた)という彼女が救援活動の渦中に身を置くことになったきっかけは、双方向無線として使えるスマホのアプリをCajun Navyが使っていることをSNSで知り、好奇心からダウンロードしたことだった。スマホから伝わってきたのは、助けを求める人々や救援に向かう人々の生々しいやりとりだった。さらに耳をすませると、救助要請に応答し、関係者に指示を出していたmoderator(調停者)が深夜の交代要員を探していることがわかった。ハートマンはどきどきしながらアプリの「トーク」ボタンを押し、「やります」と伝えたのだ。


わずか2分間の“training(研修)”の後、さっそく彼女は現場と向き合った。水位が増す家屋で恐怖におびえる家族に屋根上に逃れるよう訴え、救援が来ない不安におののく家族を励まし、dispatcher(配車係)が速やかに救援ボートを差し向けられるよう必要な情報を入力する──。区切りがついた午後6時までの連続17時間半に及ぶ救助活動中、彼女は悲報にも接した。しかし、ボランティアの市民が多くの命を救ったという事実に希望を見たのだ。 


私も同感だ。Cajun Navyと呼ばれる人々は、郊外に住むブルーカラー層と重なる。政治的な信条はともかく、いざとなればselfless(無私)な行動を示す彼らの姿には真のアメリカンスピリットが体現されている。


(ロッシェル・カップ)


(ヒューストン・クロニクル紙の記事はこちら


Rochelle Kopp

人事管理と異文化理解が専門のコンサルタント。シカゴ大経営大学院修了。日本語が堪能。本コラムに加筆した『見出しとリードで読み解く英語ニュース』(語研)など著書多数。





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