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アマゾンとウォルマートのガチンコ対決で理解する市場経済

"The Amazon-Walmart Showdown That Explains the Modern Economy"

2017年6月16日付 ニューヨーク・タイムス紙

ニューヨークのホールフーズ・マーケットで撮影した食品の数々
photo:Reuters

買い物に割く時間が惜しい身にとって、ネット通販はありがたい。都市部に住む共稼ぎ世帯のご多分にもれず、我が家も通販サイトに頼っていて、とりわけアマゾンの家計支出に占める割合は高い。一方、郊外や地方の低・中所得層の間では、店舗を構える小売りチェーン店、特にウォルマートへの支持が根強いようだ。記事は、ネットとリアルの両雄が小売業界でpredominant(支配的な)地位を目指し、on a collision course(いずれ衝突する進路上にある)ことに注目したものだ。


両社のshowdown(対決)の一幕がニュースになったのは6月のこと。アマゾンがhigh-end(高級)食品スーパーで知られるホールフーズ・マーケットの買収を発表した同じ日に、ウォルマートはオンライン専門の男性アパレルブランド、ボノボスの買収を発表した。アマゾンは実店舗を手に入れることでウォルマートに対抗し、ウォルマートはボノボスが得意とする都市部の高所得層とネット通販のノウハウを取り込み、play catch-up(巻き返しを図る)のが狙いだとされる。


見出しは、ネットとリアルの垣根を越えた両社の対決は現代の市場経済がどういうものなのか説明するとうたう。筆者によると、市場はもはやeven playing field(公平な条件下で競い合う場所)ではなく、規模の大きい企業が優位に立ち、少数の企業によってdisproportionately(不均衡に)占有されるものになった。そして特定企業への利益のconcentration(集中)は、小売り業界に限らず、銀行、航空、通信といった業界ですでに顕著だと指摘する。


企業が勝ち組と負け組でbifurcating(真っ二つに分かれる)状況は、社会全体の格差の拡大にもつながっているらしい。勝ち組企業の従業員と負け組企業の従業員の収入差が広がる一方、飛び抜けた勝ち組企業の出現によって労働者全体に行き渡るパイが小さくなっているというのだ。


ビジネスシャツをアマゾンかボノボスのどちらの通販サイトで購入しようか迷っていたという筆者は、この悩ましい選択こそグローバル経済の支配をめぐって巨大企業が繰り広げる戦争のワンシーンなのだと記事の最後に記している。


(2017年6月16日付けニューヨーク・タイムス紙より)


Rochelle Kopp(ロッシェル・カップ)

人事管理と異文化理解が専門のコンサルタント。シカゴ大経営大学院修了。日本語が堪能。本コラムに加筆した『見出しとリードで読み解く英語ニュース』(語研)など著書多数。



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