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「ミニマリスト」になりたいわけじゃない

子育てをしながら実践するフランス流のミニマリズム


日本の雑誌などでライフスタイルのお手本に挙げられることが多いフランス。アフリカ・マダガスカル出身のミノ・ラクトサンジュニ(33)は10代の終わりに留学でフランスに渡って以来、パリやその近郊で暮らしてきた。ミニマリズムについてのブログを始めたのは2011年。今では3人の子どもを育てながら、「持たない暮らし」を実践している。ここ数年で広がりつつあるというフランス流のミニマリズムについて尋ねてみた。(構成:宋光祐、敬称略)


子育てをしながらミニマリズムを実践するミノ・ラクトサンジュニ

――そもそも日本では、フランスに対して「シンプルな暮らし」のイメージを持つ人もいます。

シックなスタイルを好み、流行をむやみに追わないというパリジェンヌのイメージがあるのかもしれません。ただ、私が知っているパリジェンヌは流行に関心があって雑誌を読み、買い物も好きな人たちです。一方で、フランスでもミニマリズムが関心を集めています。私が6年前にブログを書き始めた時には、米国のミニマリストのサイトしか見つけられませんでしたが、ここ数年で「持たない暮らし」をテーマにブログを始める人が増えてきました。昨年からフェイスブックを通じて募っているミニマリズムを学ぶためのグループにも数千人が登録しています。


――モノを減らして暮らすことになったきっかけは何ですか。

マダガスカルに住む家族がバカンスでパリに遊びに来た時、シンプルライフについて書かれた本を忘れて帰ったんです。たまたまそれを目にしたことがきっかけで、モノをできるだけ持たずに暮らすことに関心を持ちました。2011年から片付けを記録する意味も込めて、ブログを始めました。


――それまでの暮らしはミニマリズムとは違うものだったのですか。

高校を終えて留学のため、マダガスカルからパリに来ました。パリに比べればマダガスカルでは売っているモノがそれほどたくさんあるわけではありません。しかも高校生だったので、自分で買い物できるだけのお金も持っていません。

ところがパリに来ると、モノがあふれています。しかも洋服などはそんなに高い値段でなくとも質のいいモノが手に入る。就職して自分で使えるお金を持つようになると、急にモノを買う自由を手にして買い物の喜びに浸るようになりました。パリの13区に暮らしていた時は、週末ごとに近くのショッピングセンターに足を運んで買い物をするのが楽しみでした。


――偶然目にした本のどの部分に関心を持ったのでしょうか。

本はフランス人で日本に暮らすドミニク・ローホーが書いたものです。最初に興味を持ったのは家の片付けについて書かれている部分でした。当時、家の中には値札が付いたままの服など、買っても使っていないものがたくさんありました。そういう必要でないものを処分して、片付けてみると気分が良くなったので、さらに刺激を受けてモノを減らすことを続けました。


――ただ、家族のいる人がミニマリズムを実践するのは難しいという意見もあります。

私には3人の子どもがいます。夫は私と同じようにモノをあまり持たない方がいいという考えですが、子どもがいると学校で使う道具やオモチャなど自然とモノが増えていきます。7歳の長男は私に「これを買って欲しい」「どうしてモノを持ちたくないの」と尋ねてきます。もちろん、子どもたちにはモノを持つ自由があるので、子どもの持ち物を無理やり捨てさせることはできません。


――それでもミニマリズムを続けられるコツがあるのでしょうか。

厳密にあらゆる面でミニマリストでいようとせずに、寛容さが必要ではないでしょうか。子どもがいればオモチャを買わずにいるのは難しい。だから、子どものオモチャは買わないのではなく、多くなってきたら減らすように説得する。短い期間ではなく、何年間か時間をかけてモノを処分することも大切です。米国のミニマリストのサイトを見ると、50個や100個など極端にモノを減らして、いろいろな土地に移り住む若いミニマリストが目に付きますが、私は母親でも「持たない暮らし」ができることを示したい。

極端なミニマリズムではなく、例えば食器ならお客さんが来た時に使うような特別なお皿をいくつも用意するのではなく、必要最低限にしてみる。家族と暮らしているなら、自分自身の持ち物を減らすなどできる範囲で続けていけばいいのです。



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