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豊かさのニューノーマル(紙面)

[Part2][解説]なぜ民主主義は揺らいでいるのか

ブラジル南部ポルトアレグレのファベーラ(スラム街)で遊ぶ子供たち。ロナウジーニョも子供の頃に路上でボールを追いかけた photo : Tamagawa Toru

いま、世界に「強力な指導者」が次々と現れている。


米研究チームが2014年、人口100万以上の149カ国について政治体制の変遷を調べた。形式上は民主的な手続きを経ていても権限が過度に集中し、反対勢力との競合が成り立たない独裁的な政治体制は、10年時点で4割に当たる59カ国に上った。内訳を見ると、第2次世界大戦直後から最も多い「政党独裁」が減少傾向なのに対し、「個人独裁」は着々と増え、10年は「政党独裁」と並ぶ25カ国に。ロシアやトルコ、ベネズエラもここに入る。


欧米や日本の価値観からは「強権的」「独裁的」と批判されながらも、彼らの多くが国民の高い人気を誇る。その苗床といえるのが、人々の「強い不安」だ。


「経済的に不安定な人や心理的に不安を抱く人ほど、強権的な指導者を支持する」。英研究チームは今年、世界14万人以上の調査から、結論づけた。経済悪化やテロなど準備や警戒を怠らなければ避けられたかもしれない危機への「不安」が、特にそうさせるという。


北海道大学教授(比較政治)の吉田徹(42)は、「リベラル・デモクラシー(自由民主主義)は第2次大戦への反省から資本主義と民主主義の両立を試みるものだった。その結果史上初めて中間層が社会の主流となった」と説く。


だが産業構造の変化で中間層が縮小したことや、社民政党の変化、リーマン・ショック後の超緊縮財政やグローバル化で不平等が広がる中、民主主義が揺らいでいると見る。


(玉川透)


(文中敬称略)


(「取材にあたった記者」に続く)



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