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豊かさのニューノーマル(紙面)

[Part3]行き詰まりを打破するには

©マリオン・ファイヨール

先進国には、行き詰まり感が漂う。


国際通貨基金(IMF)によると、2005年から10年の新興国と途上国の実質GDP成長率は、年平均で2.8~8.5%。ところが先進国は、-3.4~3.1%にすぎない。


格差も広がる。先進国の集まる経済協力開発機構(OECD)は14年、「富裕層と貧困層の格差がこの30年で最大の水準に達している」と報告した。


「もう経済は成長しないのでは」「成長できても、格差が広がるだけなのでは」。豊かさをめぐる議論の盛り上がりは、そんな不安の裏返しと言える。


人工知能(AI)やロボットなどの新技術が、行き詰まりを打破するという楽観論もある。しかし同時に、それが人間の仕事を奪うという不安もつきない。


京都大学教授の広井良典(56)は、経済成長を最優先としない社会を模索するブームは、この200~300年で3回目だと語る。1回目は19世紀半ば、農業社会が終わるころ。この時は本格的な工業化社会に入り、議論は終わった。2回目の1970年代には石油危機などがあったが、その後にグローバル化と金融の発達で成長が続き、忘れられた。


広井は、先進国の低成長などを考えると、今回が「議論の最終段階」とみる。


ただ、成長を最優先にしないとしても、社会を支える経済基盤は必要だ。ベーシックインカムも、配分する原資をどう稼ぐかの議論は避けられない。日本では、すでに巨額になっている政府の借金をどうするのかという問題も残る。


「働かざる者、食うべからず」という「常識」から抜け出すことで、逆に人間は創造的に、前向きに働ける……。そんな発想が本当に行き詰まりを打ち破るのか。実験は始まったばかりだ。


(宋光祐、西村宏治)


(文中敬称略)


(「自由と民主主義が後退し、世界は強さを崇めるかのようだ――ブラジル」に続く)


【WEBの関連記事はこちら】

・成長を最優先としない社会に向かうのか/広井良典・京大教授インタビュー

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