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未来をあきらめない

[Part2]年金マネーで持続可能な未来に/高橋則広GPIF理事長

高橋則広理事長
Photo:Nagashima kazuhiro



世界最大の公的年金基金であるGPIFが今年、新たな指数のもとESG投資に乗り出した。高橋則広理事長に背景や狙いを聞いた。



ESG投資はこれから、世界の投資の前提となっていきます。将来の世代が幸せになるにはお金だけではないということ。GPIFは株を直接持てないので、新たな指数の選定と公表を通じて、企業がESGの考慮に向かうよう後押しをしています。指数は三つあり、うち一つは女性の活躍に特に配慮したものです。


約145兆円の運用資産のうち国内株の3%にあたる1兆円規模。今後1割に高めていこうと話していますが、目標を決めて消化していくようなことはしません。投資の効果を見極めながら、増やしていきたいです。ESG指数は評価の手法も公表しており、企業がみれば、どこをどう改善すればよいかがわかる仕組みになっています。


日本のESGに対する評価が低いのは、情報開示の内容や量が不十分なことが大きな原因で、実態は評価ほど悪くないと思います。(評価の低い企業を排除する)ネガティブスクリーニングの方が実は簡単ですが、公開されている評価方法を意識しながら企業に動いてもらう方が、日本市場の底上げという点ではいいのではないかと考えます。


極論すれば、いままでは企業のやり方は問わず、成長すればOKでした。これからは、ESGの要素も含めて企業を評価していく。ESG評価の高い企業は、株価下落のリスクが比較的小さいという研究もあります。もちろん、短期利益の追求も必要です。問題は、長期の利益を稼ぐために短期利益が多少下がってもよいというバランス感覚がある決断を、経営者ができるかどうかです。


SDGsがお金の回し方で進むよう、携わっていきたい。こうした取り組みは、人間の利得欲に訴える方が長続きします。環境に配慮したら稼げた、さらに進めたらまた稼げた、という流れのほうがサステナブルですし、そこに投資のチャンスがあると考えています。


孫やひ孫の世代に財産を残すことも大事ですが、孫たちが暮らす社会は本当に幸せか。GPIFはお金は残したけれど、その結果、世の中はぼろぼろだったとは言われたくありません。

(構成・北郷美由紀)


たかはし・のりひろ

1957年生まれ。農林中央金庫専務理事、JA三井リース社長を経て2016年4月から現職。政府のSDGs推進円卓会議にも加わっている。


「誰も置き去りにしないために」に続く)



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