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薬とカネ

[Part3]リアルに、クールに薬とつきあう/太田啓之(GLOBE記者)


薬の世界には、ものすごい量のカネとデータが渦巻いている。一部の製薬会社がカネに目がくらみ、治験データを改ざん・隠蔽(いんぺい)するケースもかつてはよく見られたが、英NICEでの「カネとデータ」を巡る激しい攻防を取材していると、「そんなごまかしはあっという間にばれるだろうし、今後は減っていくだろう」と思わざるを得ない。


日本ではこれまで、少しでも効果があれば、どんなに高額な薬でも公的医療保険で面倒をみてきた。だが、高齢化で医療費が急増し、薬価も跳ね上がる中、それをいつまでも続けられるわけがない。費用対効果の考え方は何らかの形で取り入れざるを得ないし、今後は「効果があるかもしれないけれど、公的医療では使えない薬」も出てくるだろう。


だけど、それを「命に値段をつけるのか」と批判するのは極論だと思う。仮に「9割以上のがんが治る」という特効薬が開発されれば、高価でも「費用対効果が抜群」と判断され、公的医療で使用できるはずだ。一方で、「費用対効果が問題になる薬」というのは、要するに「高い割に効き目は限定的」ということ。オプジーボも今のところ、そういうレベルの薬と言わざるを得ない。


それに、現行の薬の多くは、症状を抑える働きはあっても病気を根本から治す力はない。そして、副作用のリスクは常に存在する。


基本的には体によくないが、うまく活用すれば自己治癒力を引き出したり、生活の質を保ったりできる──。一部の特効薬を除いて、薬とはその程度の存在であると自覚しつつ、過剰な期待を寄せずにつきあうのがよいのではないか。



取材にあたった記者

太田啓之(おおた・ひろゆき)

1964年生まれ。年金、医療保険など社会保障報道を手がけ、現GLOBE記者。


西村宏治(にしむら・こうじ)

1975年生まれ。東京と大阪の経済部などを経てGLOBE記者。米国では、現地で活躍する日本人研究者が少なくないことに、勇気づけられました。



静物写真

小寺浩之(こでら・ひろゆき)

1965年生まれ。雑誌編集者を経て、静物写真の世界へ。日本写真家協会会員。



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