RSS

大人って何だろう?

この記事をすすめる 編集部へのご意見ご感想

  
ソーシャルブックマーク
このエントリーをはてなブックマークに追加

[Part2]寄り道しつつ考えればよいのでは?







キュフレの会
photo:Sako Kazuyoshi

5月下旬の夜、東京・早稲田のビルに男女約20人が集まった。休学中、休学したい、または休学済みの学生たちだ。大学中退を経験した起業家の川本恵太(30)らが、同じ悩みを持つ「休学フレンド」たちがつながる場を用意した。名付けて「キュフレの会」だ。


「今日、休学の手続きをした。起業したくてベンチャー企業でインターンをやってるけど、大学で学ぶって何だろうと思う」。明治大学2年の山口翔誠(19)が言った。東洋大学3年の古島将(21)は「将来がわからなくなり、悩んで2日間吐いたんだよね」と話した。


会の企画に加わった慶応大学大学院特任助教の若新雄純が、学生たちに語りかけた。「やりたいことがわからない時、海外では余裕で休んだり寄り道したりする。納得するまで考えようよ」


いずれ休学生を支援するビジネスにつなげられれば、との狙いも会にはある。ただ、若新は「まずは『完成した大人』にならなきゃ、と思い込まなくていいんだと伝えたい」と言う。


文部科学省によると2012年度、大学や短大、高専の休学者は約6万8000人、中退者は約8万人。いずれも前回調査の07年度より増えた。経済的理由や留学のほか、大学になじめない例も目立つ。


立ち止まるには、自分で考える力が必要だ。入学したその日から「何でも自分で考え、決める」を実践する私立の小中学校があると聞き、和歌山へ向かった。





「30歳まではいろんなことをやり直したらいい」

「きのくに子どもの村学園」で箱作りに励む子どもたち
photo:Toh Erika

橋本駅から車で約30分、杉の木々が立ち並ぶ山あいにある「きのくに子どもの村学園」。子どもの自発性や興味を尊重する英教育学者の思想に基づき、1992年に開校した。


小学校の校舎に入ると、「クラフト館」とある看板の前で子どもたちが板にのこぎりを走らせ、かなづちで釘を打ち付けていた。「これ、切りにくい」と5年の嘉納楽(10)が手を止めると、2年の川島宏太郎(7)が「切りにくかったら他のを使えばいい」と声をかけた。


「板1枚から何枚の板がとれるか、箱にどれだけ水が入るか。箱作りを通じて算数を学べるんです」。学園長の堀真一郎(72)は解説する。


小学校のクラスは、「クラフト館」「工務店」「おもしろ料理店」「劇団きのくに」「ファーム」の五つある。文科省の学習指導要領に沿いながら、体験学習に週14時間費やす。


どのクラスに入るかは子どもたちが年度初めに決めるが、拙速は避ける。約2週間ずつ各クラスを回り、考えてもらう。学園長の堀は「大人の条件は、自分について誇りをもって決められることだ」と話す。「ただ、卒業の時、私はこう言っている。30歳まではいろんなことをやり直したらいいと。成熟には時間がかかりますから」。そのための「練習」が小1から始まっているのだ。


午後2時半、週1度の全校ミーティングが始まった。部活動から子ども同士のいざこざまで、議題は個人的なことに立ち入る場合もある。冒頭、議長の女子生徒が「今日は朝日新聞から取材の人が来ています。傍聴してもらってもいいですか」と、小中学生や教員にも尋ねた。ほぼ全員が挙手し、認めてもらった。


(藤えりか)

(文中敬称略)

(次ページへ続く)






Facabookでのコメント

朝日新聞ご購読のお申し込みはこちら

世界のどこかで、日本の明日を考える 朝日新聞グローブとは?

Editor’s Note 編集長から