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私の海外サバイバル

[第121回] 母国語じゃなくたって@ライプチヒ(ドイツ)

星野恵子 グラフィック・デザイナー

本の街に10年、ことばを磨いてデザインする




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ライプチヒの街並み。古くからある市街地の近くまで森が広がっている。photo:Koyama Kentaro

ベルリンから電車で1時間半、ドイツ東部の街ライプチヒで、グラフィックデザイナーをしています。


日本の多摩美術大を卒業した2007年に、タイポグラフィーとブックデザインを学びたくて、ライプチヒ視覚芸術アカデミーに留学しました。それ以来、この街に住んで10年目になります。


タイポグラフィーをご存じでしょうか。文字のかたちや配置、空間の取り方などを考えて見やすく整理し、読み手に正確に情報を伝える技法です。ことばの機能性と芸術性を調和させる、なんて言い方もします。


ライプチヒは、16世紀の宗教改革でマルティン・ルターがカトリック側と議論を戦わせた地です。ドイツ語訳聖書の活版印刷から印刷業が盛んになり、第2次世界大戦前は全ドイツの5割以上の書籍を印刷していたほどです。


そんな街だからこそ、本づくりに重要なタイポグラフィーの技も磨き抜かれてきました。私はここで、活版印刷の技術にまでさかのぼり、古い活字を実際に手に取りながら文字の美しい組み方を覚えることもできました。


アカデミーに在学中から、フリーランスとして、一般的な書籍やアートブック、広告媒体などを制作しています。


ドイツ人の発注者にとって、ドイツ語を扱うデザインをわざわざ外国人にまかせる必要性はありません。母国語にアルファベットを使わない私みたいなアジア人ならなおさらです。仕事を得るうえで、できるだけドイツ語の能力を高め、信用を得ることが大切でした。


ライプチヒは人口約50万。こぢんまりとしてフリーランスのデザイナーや芸術家が多い街ですが、その輪の中に入るのにはずいぶん時間がかかりました。


Hoshino Keiko

1985年、福岡生まれ。グラフィックデザイナー。多摩美大を卒業後、2007年にドイツ・ライプチヒに留学し、2012年にDiplom号(修士相当)取得。現地でタイポグラフィーとブックデザインに重点を置いて仕事を続けている。



(次ページへ続く)

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