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ブレグジットのやめ方

[第216回]園部哲 翻訳家

現在まで地球上に存在した人間を総合計すると1,070億人になるという。現在の世界人口が70億だから1,000億はすでに地に海に帰った人々である。Adam Rutherfordの『A Brief History of Everyone Who Ever Lived』は、これら全員(=everyone who ever lived これまで生きた人々)のグループヒストリーを、DNAを鍵にして解き明かそうという壮大な趣向である。著者は壮大に闊歩する中で、これまでの人類史にかかわる誤解や謬見を次々になぎ倒してゆく。そのなかで最も痛快であり、かつ本書のメインテーマと思われるのが「人種」の否定だろう。「遺伝学の観点から見る限り『人種』は存在しない」。初期遺伝学者のひとりであり優生学を創始した人物、フランシス・ゴルトンが人種差別意識の強いレイシストだったという著者の指摘は、強烈な皮肉だ。


Sonobe Satoshi

1956年生まれ。翻訳者。通算26年のロンドン暮らし。最新翻訳書はリチャード・リーヴス『アメリカの汚名:第二次世界大戦下の日系人強制収容所』(白水社)。インスタグラム: satoshi_sonobe



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