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ノーベル平和賞、フィリピンとロシアのジャーナリストに 両国の「報道の自由」何位?

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フィリピンのジャーナリスト、マリア・レッサ氏(左)とロシアの新聞社「ノーバヤ・ガゼータ」のドミトリー・ムラトフ編集長=ラップラー/ロイター
フィリピンのジャーナリスト、マリア・レッサ氏(左)とロシアの新聞社「ノーバヤ・ガゼータ」のドミトリー・ムラトフ編集長=ラップラー/ロイター

「国境なき記者団」(RSF)がまとめた2021年版「報道の自由ランキング」によると、180カ国中、フィリピンは138位、ロシアは150位と、いずれも極めて低い位置にある。

フィリピンでは2016年にドゥテルテ大統領が就任して以降、政府に批判的な報道への締め付けが厳しくなった。今年のノーベル平和賞を受賞するマリア・レッサ氏も2019年、過去に書いた記事に関する名誉毀損容疑で逮捕され、有罪判決を受けた。RSFによると、ドゥテルテ大統領は就任後、「ジャーナリストだからといって暗殺を免れることはない。報道の自由はあなたの身を守ってはくれない」と述べた。2020年にはフィリピンで4人のジャーナリストが殺害されている。ニュースサイトやジャーナリスト団体へのサイバー攻撃も起きているという。

フィリピンのネットメディア「ラップラー」の創業者で最高経営責任者マリア・レッサ氏=ラップラー提供
フィリピンのネットメディア「ラップラー」の創業者で最高経営責任者マリア・レッサ氏=ラップラー提供

RSFによるとロシアでは、2011年の下院選挙をきっかけにした大規模な反政府デモ以降、メディアへの締めつけが続いているという。その後、独立系世論調査機関やメディアが「外国の代理人」に指定されて活動を事実上制限される事態が続いている。ロシアの独立系メディアなどは今年8月、報道への締めつけをやめるようプーチン大統領らへ求める公開書簡を発表した。

ムラトフ氏が編集長を務める「ノーバヤ・ガゼータ」のアンナ・ポリトコフスカヤ記者は、チェチェン紛争でのロシア政府による残虐行為などを批判してきたが、2004年、機内で出された紅茶を飲んで意識不明の重体になった。その後回復したが、2006年に自宅アパートのエレベーター内で射殺体で見つかった。

ドミトリー・ムラトフ氏=ロイター
ドミトリー・ムラトフ氏=ロイター