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観客が戻り始めた韓国の劇場 映画「侵入者」がけん引

現地発 韓国エンタメ事情 更新日: 公開日:
「侵入者」主演のソン・ジヒョ=エースメーカームービーワークス提供

新型コロナウイルス感染症の影響で2月後半から観客が激減していた韓国の劇場に、6月、ようやく観客が戻り始めた。けん引しているのは、6月4日に公開された「侵入者」だ。10日現在、「侵入者」の観客数は34万人を超え、今月は話題の新作が続々公開される予定だ。

「侵入者」のソン・ウォンピョン監督は、小説「アーモンド」の著者だ。日本でも翻訳出版され、2020年本屋大賞翻訳小説部門で1位を獲得したほど人気を集めている。映画はこれまでもいくつかの短編を撮ってきたが、長編は今回が初めて。「アーモンド」ファンの私も公開を心待ちにしていた。

「侵入者」はミステリースリラーだ。妻をひき逃げ事件で亡くし、立ち直れないでいるソジン(キム・ムヨル)のもとに、ある日、25年前に行方不明になっていた妹ユジンが見つかったと、連絡がくる。目の前に現れた「ユジン」という女性(ソン・ジヒョ)を妹として受け入れられないソジン。一方、一緒に暮らすことになったソジンの両親や娘と打ち解けていく「ユジン」。両親にとっては25年前に生き別れた娘と再会できた喜び、ソジンの娘にとっては母の不在を埋めてくれる存在だ。一人馴染めずにいるソジンは家族から孤立していく。

「侵入者」ポスター

ソン・ジヒョは最近では人気のバラエティー番組「ランニングマン」で見せる明るいイメージが定着していたが、意外にミステリアスな役もぴったり。果たして本当にユジンなのか、ユジンのふりをしているとすれば、目的は? 不気味な存在感が、ますますソジンを不安にさせる

ソン監督は「家、そして家族というのは普遍的な概念だが、そんな日常的な素材がねじ曲がった時、もっと生々しく怖い、奇妙な感覚を与えうると思った」と話す。最も安心できるはずの場所である家に、ソジンから見れば「ユジン」という得体の知れない「侵入者」が登場する。ユジンの行方不明事件、妻のひき逃げ事件、そして「ユジン」の登場。ソジンは家族に反対されながらも真相を追う。

10日には、「潔白」(パク・サンヒョン監督)も公開された。主人公ジョンイン(シン・ヘソン)の父の葬儀の場で起こった農薬殺人事件。容疑者とされた母(ペ・ジョンオク)の潔白を証明しようと、弁護士のジョンインが奔走する。

「潔白」ポスター

18日には俳優チョン・ジニョンが監督を務めた「消えた時間」が公開予定だ。謎の火災事件を捜査する刑事(チョ・ジヌン)が、自身が信じていたすべてが消えてしまう衝撃的な状況に陥り、人生を取り戻すべく追跡していくミステリー。

「消えた時間」主演のチョ・ジヌン(右)=エースメーカームービーワークス提供

24日には、ユ・アイン、パク・シネ主演「#生きている」(チョ・イルヒョン監督)の公開も予定されている。原因不明の症状の人たちの攻撃により統制不能となった都市で、電話やWi-Fiなどが途絶え、それぞれ別のマンションで孤立したジョヌ(ユ・アイン)とユビン(パク・シネ)。二人の生き残りをかけた闘いを描く。普段なら「非日常」の話だが、世界的な新型コロナ感染により、身近に感じるゾンビものだ。

「#生きている」ポスター

新作公開を後押しするのは、「割引券」だ。韓国政府は新型コロナにより停滞している映画産業を支援しようと、チケット1枚当たり6千ウォン(約540円)が割引となる割引券を6月1日から各劇場を通して配布している。133万枚を配布する予定だという。韓国のチケット代は千円程度なので、およそ半額となり、劇場に観客が戻り始めるきっかけとなっている。とはいえ、新型コロナの感染者数そのものが一時よりも増えており、まだまだ慎重な雰囲気。回復には相当時間がかかりそうだ。