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この開放感、まるでイタリア 東京のど真ん中にある大使館員おすすめスポット

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日比谷公園にある松本楼。暖かくなるとテラス席は客で埋まる=東京都千代田区、向井宏樹撮影

すばらしいと思うのは日比谷公園にある松本楼というレストランです。東京には故郷の味を楽しめる神楽坂のレストランや、古き良きイタリアの雰囲気を醸し出している駒場の食料品店もありますが、一番のお気に入りといえばここです。

1階のテラス席がすてきで、月1回ほど仲間と訪れます。何を食べるのかでお店を決める日本人は多いと思いますが、僕が優先するのはその場の雰囲気。松本楼は料理もおいしくて立地の割にはリーズナブルですが、訪れる理由は料理以外にもあります。

何よりも緑に囲まれながら食事できる機会は、東京ではかなり貴重です。冗談を言い合いながらワインを傾け、ゆっくりと食事を楽しむ。イタリアでの雰囲気に似ていて、とてもリラックスできます。

食事中のおしゃべりと言えば、日本では政治の話はタブーといわれますが、イタリア人はよくします。時に仲間同士で議論が白熱することもあります。僕自身は大使館で政治関連の仕事をしているので、職場を離れたらできれば別の話をしたいのにな、と眺めています。

40年ほど前に初めて来日したころ、日本人は食事を楽しむというよりも、生きるために食べている、という印象を受けました。イタリア人の感覚とは違うなと思いましたが、その後ずっと暮らす間に東京は世界のグルメ都市となり、イタリア料理店も本当に増えました。

ただ、イタリアの場合は生産者と消費者の距離がもっと近い。グリーンツーリズムも盛んで、チーズや生ハムを手作りしている人たちがあちこちにいます。「俺がつくったサラミ、うまいから食べて感想聞かせて」なんてやりとりは、東京ではなかなかお目にかかれませんよね。

日比谷松本楼> 千代田区の日比谷公園内にある1903年開業の老舗レストラン。1階とテラス席ではハンバーグステーキ(1500円)や野菜カレー(1450円)といった洋食、3階でフランス料理が楽しめる。

在日イタリア大使館> 所在地は港区三田。伊予松山藩・松平家の中屋敷があった場所で、敷地内には日本庭園が広がる。赤穂浪士ゆかりの石碑も残され、この地で切腹した大石主税ら10人の浪士を顕彰することなどが日本語とイタリア語で刻まれている。

(2018年1月19日付朝日新聞東京版掲載。肩書、年齢は掲載当時のものです)