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新しい「大人の証し」 ポトスのすすめ




去年の8月、失恋したてだった私はところかまわず泣き明かした末、チャイナタウンにあるお気に入りの園芸ショップにたどり着いた。人生に(いや、せめて週末に)新しい目的を与えてくれるような何かが見つかると思ったのだ。


私はプラム色のゴムノキに50ドル支払い、この木とこの先、何年も一緒に暮らす日々を夢見ながらカナルストリートを連れ帰った。この子なら、当時半ばもぬけのからで悲しみに覆われていた部屋に生気を宿してくれる。強そうに見えたし(あまりに重くて家がいつもより遠く感じられた)、自分も心身ともに強くなれそうと思った私は、この木をミシェル・オバマと名づけた。


2カ月後。植物園の電話相談によれば「根腐れ」で、祖母によれば「水のやり過ぎ」で、そして過去の恋へのあきらめの悪さなんかも重なって、私はミシェルを枯らしてしまった。


同じ頃、旅行中に見てほしいと、友達からポトスを預かった。彼から受け取り、カーテンの手前にぶら下げたきり、ほとんど忘れてしまった。


筋張ったツルから、つやのあるハート形っぽい葉が垂れ下がるポトス。よく窓辺に吊るされたりして、床までツルを伸ばしているあれだ。観葉植物の中でも一番たくましく、一番身近で、よく行く雑貨屋に一つ、コインランドリーには二つ、言いにくいけど私の自宅には今三つある。


多くを求めないポトスには、どんな光、どんな水、どんな土壌でも育つ性質がある。スーパーにもあるほどなのだから、枯らしてしまうほうが無理な話だ。植物栽培不適合者で、身も心もブラックな失意の独り者にとってはまさに、パーフェクトな植物だった。


我が家のポトスが順調に育つのに気をよくした頃、友人5人がそろいもそろって同じコラムを送りつけてきた。「なぜミレニアル世代は観葉植物に夢中なのか」(雑誌「ナイロン」電子版)。



(次ページへ続く)

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