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[No.182]鈴木隆史/Suzuki Takashi

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軍手をはめた褐色の手元で研磨機がうなりを上げ、銀色の表面の余分な「バリ」がみるみる滑らかになっていく。アルミ金型の仕上げに精を出すカメルーン人社員ガラムジャ・ドゥ・コンスタント(43)を、社長の鈴木隆史(43)は口をへの字に結んで見守っていた。


東京都八王子市、高尾山を南に望む工場地帯にある栄鋳造所。鈴木は、祖父の代から続く鋳物工場の4代目社長だ。社員32人中、7人が外国人。3人は難民認定を申請、コンスタントもその一人だった。「国を出たのは政治的な問題。鈴木さん? お父さんみたい」と言うと、鈴木は照れた笑みを見せた。


隣の事務所には韓国人が勤務していた。韓国人インターンの受け入れを進めた末に昨年設立した栄コリアの社員たちが、研修で入れ替わり訪日している。12月には米アイダホ州で栄USAも立ち上げた。今や売上高は約7割が海外だ。


八王子市で長く中小企業支援に携わってきた市職員、柏田恆希(43)は言う。「ものづくりの世界で外国人雇用というとコストカット目的が多いなか、彼は付加価値を上げるためにやっている。そもそもこの規模でこんなに外国人を雇っている工場も、なかなかない」


難民雇用というと、人道支援と思われるかもしれない。だが鈴木にとっては、生き残るための人材戦略だった。


8年半前は、「ほんっとに夜逃げしようと思ってました」と鈴木は振り返る。


自他ともに認める「イベント企画好き」の鈴木は高校卒業後、近郊のレジャー施設運営会社「東京サマーランド」に就職。一方の工場は「就業中には軍歌が流れ、雰囲気も暗かった。いくらオヤジの会社でも行くもんか、と思ってました」。渋々入社したのは「お父さんを助けて」との母・陽子の説得に折れてのことだ。



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