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英語ってどうすれば上達するのですか? 松井博 #1



映画「アナと雪の女王」に出て来る単語数がどのくらいかご存知ですか?


なんと、わずか2000語なのです。その理由は、ネイティブの4歳児の語彙が2000語程度だからです。幼児からお年寄りまで楽しめる作品。そんな 映画を作ろうとすると、落ちつく語彙数はおおよそ2000語なのです。一方、僕たちが中学の3年間で学 ぶ単語数はおよそ1600語です。つまり中3までの英語がきちんと使えれば、日常の簡単なことくらいは 話せるし、ほんの少し背伸びすれば、「アナ雪」くらいの映画なら字幕なしで観れるはずなのです。



英語ができるようになるのは楽しいことです。様々な国籍の人と友達になったり、海外のドラマや映画を日本語字幕なしで楽しんだり、小説をそのまま原文で読めるようになったりと、自分の世界が大きく広がります。海外旅行へのハードルも下がりますし、ビジネスでの活躍の場も増えるでしょう。英語は確実に世界を切り拓いてくれる、とっても有用なツールなのです。



僕はふとしたことから英語環境に身を置くことになり、もう30年以上もの間、日常的に英語を使って過ごしています。大学4年間をアメリカで過ごし、アップル社の日本法人で9年間勤務、そしてその後米国アップル本社で管理職について7年間勤務しました。それもこれも、英語が広げてくれた世界です。そして現在ではカリフォルニアでビジネスを営む傍ら、東京とフィリピンで Brighture English Academy(ブライチャーイングリッシュアカデミー)という語学学校を経営し、英語学習のお手伝いをさせていただいています。



「英語はどうすれば上達するのですか?」

英語学習者の皆さまからもっとも頻繁に受ける質問は、文法や発音などではなく、「英語はどうすれば上達するのですか?」というものです。これに対する回答は一筋縄ではいきません。その人の年齢やこれまでの学習歴、普段どのくらい英語に触れる機会があるのか、また英語がどのくらい必要なのかにもよるからです。



しかし、英語の上達に絶対に欠かせないことが一つだけあります。それは、「使うことを意識して勉強する」ことです。使うことを意識して勉強している人はやはり伸びるのが早いですし、学習の継続に必要なエネルギーも維持しやすいものです。



一方、使うことを意識せずに漫然と勉強していると、「英語を勉強すること」自体が目的化してしまい、「何時間勉強した」「単語本を何周回した」「リスニングの教材を何回聞いた」などといった回数や時間数に満足を覚えてしまい、肝心の「使うこと」が置き去りになってしまいがちなのです。英語学習をすること自体が目的ならばこうした在り方も決して悪くはありませんが、これでは「英語道」です。もしも、英語道が目的でないのなら、常々「使うこと」を意識しながら勉強を続けることを強くオススメします。



まず使ってみよう!

では、具体的にはどうやって「使うこと」を意識したらよいのでしょうか? 話は簡単、まずは実際に使ってみましょう。今ではインターネットもありますし、インバウンドでたくさんの外国人が入ってきてますから、それほどお金をかけなくても英語を使う機会を比較的容易に得ることができます。



また、「ある程度勉強してから使ってみよう」などと考える必要さえありません。大半の人は中2くらいまでの英語を覚えていますから、とりあえず知っていることを駆使して喋ったり書いたりしてみるのです。



実際に使ってみると、自己紹介さえ満足にできずに固まってしまうこともあるでしょう。私が経営するブライチャーでは授業の一環として街角インタビューなどをしてもらうことがありますが、 “What do you think of Japan?”(日本についてどう思いますか?)というごく簡単な質問さえも通じずに衝撃を受けてしまう方が、少なからずいます。



しかし、こうしたショックがたくさんの気づきを与えてくれます。例えばある受講生の場合ですと、街角インタビューを通じて自分の声が小さすぎること、”wh” と “th” の発音が通じないこと、それから、せっかく質問に答えてもらっても、相手の返事が断片的にしか理解できないことに気がつきました。すると、勉強のしどころが見えてくるのです。「よし、発音をやろう!」「語彙を増やそう!」「文法をやり直そう!」そしてこの気づきこそが上達の第1歩ですし、その後の「使うことを意識して勉強する」に繋がって行きます。




PDCAサイクルではなく、「DCPSサイクル」で行こう!

ビジネス用語に、PDCAサイクルというものがあります。生産や品質管理の手法の一つで、 Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)の4段階を繰り返すことによって、継続的に改善を繰り返してくというものです。そして、これはそのまま語学学習にも応用が可能です。



しかし、ODCAサイクルをそのまま応用するよりも、これを少し改善した「DCPSサイクル」の方が語学学習にはより適しています。それは次のようなものです。


Do(使う)→ Check(評価する)→ Plan(学習計画を立てる)→Study(勉強する)



多くの方がここのDo(使う)とCheck(評価する)を設けずにPlanとStudyしかしないため、勉強自体を目的とする「英語道」へと陥ってしまいがちなのです。


TOEICなどのテストでこの Do とCheckを代用することも可能ですが、すると今度は「使うこと」ではなく「テストで高得点を取ること」が目的化してしまいがちです。テストで高得点を取ることは、ある通過点としては悪い目標ではありませんが、それは決して最終目的ではないことを常に意識においておきましょう。実際にネイティブを相手に定期的に英語を使い、自分の足りないところを把握し、学習計画に修正を加えて行く。これが最短距離のアプローチです。



「ペラペラになる」はゴールになりえない

初心者の方に「英語学習のゴールはなんですか?」とお尋ねすると「ペラペラになりたい」という答えがよく返ってきます。しかし、これあまりいいゴールではありません。なぜかというと「ペラペラ」の定義がないからです。つまり、ゴールがないのと同じことなのです。このためどれだけ勉強してもなかなか上達した実感が持てず。徐々にやる気を失ってしまうのです。



それよりもむしろ、「自己紹介がスムーズにできるようになりたい」「身の回りのことが説明できるようになりたい」「仕事で最低限の交渉ができるようなりたい」などと言った、なるべく具体的なゴールを設定しましょう。これこそが「使うことを意識する」ということです。



まとめ

さて、今回のまとめです。英語学習を効果的に進めるには、次の3点を常に意識しましょう。


・使うことを意識して勉強する

・「DCPSサイクル」で、実際に英語を使いながら学習を進める

・なるべく具体的なゴールを設定する


冒頭で述べたとおり、映画「アナと雪の女王」に出て来る単語数はわずか2000語です。ですから中学英語に少し毛が生えたくらいで、「アナ雪」だけではなく「トイストーリー」や「カーズ」といったアニメ映画を字幕なしでクリアできるようになれます。自分の家族や友人や身の回りの出来事などを話せるようになるのは、それほど遠いゴールではありません。そこにビジネスに必要な単語や言い回しを加えていけば、実はビジネス英語ですらさほど難しくはないのです。


あなたも英語を身に付けて、世界を切り拓きませんか?




【松井博さんの過去の連載「ITが創る未来のカタチ」はこちら】

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松井 博

米国にて大学卒業後、沖電気工業、アップルジャパンを経て、米国アップル本社に移籍。iPodやマッキントッシュなどの品質保証部のシニアマネジャーとして7年間勤務。2009年に同社退職。カリフォルニア州にて保育園を開業。15年フィリピン・セブ島にて Brighture English Academy を創設。著書に『僕がアップルで学んだこと』『企業が「帝国化」する』など。



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