RSS

Webオリジナル

コートジボワール、排外主義と内戦の末

アフリカ研究者 白戸圭一 10

「象牙の奇跡」が見た地獄


 日々の暮らしとは直接関係のない、遠い外国の事情について知ることに意義があるとすれば、それは何だろうか。

内戦で破壊された市場跡で2011年、再利用のため廃材を集める市民

 アフリカ大陸の大西洋岸に、1960年にフランスから独立したコートジボワールという国がある。人口およそ2300万。チョコレートの原料カカオの世界的産地として知られ、2010年以降、年によっては2桁を記録する順調な成長を続けている。国際通貨基金(IMF)の統計では、16年の実質GDP成長率は7.5%を記録した。2017年も6.9%の安定した成長が見込まれている。

 

 今でこそ成長軌道をひた走るコートジボワールだが、今世紀はじめのおよそ9年間、この国は内戦を経験し、地獄を見た。筆者は内戦中の06年6月に政府支配地域と反政府勢力支配地域の双方を取材で訪れた経験がある。反政府側の街では学校が閉鎖され、病院には医師もおらず、薬もなく、都市機能は麻痺し、多数の住民が劣悪な衛生環境の下で避難生活を送っていた。


 内戦が始まったのは今から15年前の2002年9月だった。国土の北部で国軍から離反した兵士750人が武装蜂起し、反乱の狼煙はみるみる拡大した。同国の首都は、法律上は国土のほぼ中央部に位置するヤムスクロという人口20万ほどの小さな街だが、実際の政府機能はギニア湾に面した南部の大都市アビジャン(人口約440万)に置かれている。北部の広い範囲を制圧した反乱軍と、アビジャンの中央政府軍との泥沼の戦闘の末に戦況は膠着状態に陥り、コートジボワールの国土は11年まで南北に分断された。


 コートジボワールを60年の独立から33年間統治したのは、「建国の父」である初代大統領のフェリックス・ウフェ・ボワニだった。西側資本を積極的に導入するウフェ・ボワニの政策は繁栄をもたらし、60年から80年までの実質GDP成長率は年率平均6.2%を記録した。アビジャンはガラス張りの高層ビルの周りを高速道路が走る巨大都市に成長し、同国の経済的成功は「象牙の奇跡」と称賛された。


 そんな経済的繁栄を謳歌したコートジボワールが、今世紀に入ってなぜ、内戦で国土が二分される状態にまで転落したのだろうか。


(次ページへ続く)

この記事をすすめる 編集部へのご意見ご感想

  
ソーシャルブックマーク
このエントリーをはてなブックマークに追加

Back number | バックナンバー

アフリカ@世界 白戸圭一 「身近な隣人」が暴力の担い手になる時

アフリカ@世界 白戸圭一
「身近な隣人」が暴力の担い手になる時

アフリカ@世界 白戸圭一 テロは日本の脅威になるのか

アフリカ@世界 白戸圭一
テロは日本の脅威になるのか

アフリカ@世界 白戸圭一 北朝鮮は本当に孤立しているのか

アフリカ@世界 白戸圭一
北朝鮮は本当に孤立しているのか

Popular article | 人気記事

さらに記事を見る
Facabookでのコメント

朝日新聞ご購読のお申し込みはこちら

Information | 履歴・総合ガイド・購読のお申込み

Editor's Note | 編集長から

PC版表示 | スマホ版表示