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変わる消費の形 (2) モノからコトへの近未来 松井博 #05

最近、「モノからコトへ」というバズワードをよく耳にします。消費の動向が、モノの購買から体験の消費に変わりつつあるという説です。しかし、そんなことが本当に起きているのでしょうか? 「若者の〇〇離れ」としきりに叫ばれていますが、若者が消費から離れているのではなく、お金が若者から離れただけではないのでしょうか?


今回は、アメリカ消費文化の象徴とも言える巨大モールの動向を追うことで、「モノからコトへ」は本当に起きているのか検証してみることにしました。


ショッピングの本流、巨大モール

全米最大級のショッピングモール「モール・オブ・アメリカ」。地元の人だけでなく多くの観光客が訪れる=2015年6月、ミネソタ州

アメリカで買い物といえば何と言ってもショッピングモールです。僕も若い頃、友達やホストファミリーと連れ立ってよく行ったものです。いつ行っても人であふれており、母の日や感謝祭、あるいはクリスマス前などは、どこかの観光地に来たのかと思うほどごった返していました。


しかし、そんな巨大モールに現在異変が起きています。アメリカは好景気の真っ只中であるというのに、倒産が相次いでいるのです。しかも、5年後の2022年までにはさらに25パーセント、およそ300軒のモールが倒産すると予測されています。一体どうしてこんなことが起きているのでしょうか? 


真っ先に考えられる原因は、そもそもモールが多すぎることです。1970年から2015年の間に米国のモールの数は、人口増加率の倍のペースで増えてきました。そして現在はおよそ1200軒ものモールが存在します。

業績不振で閉鎖され、店舗の解体作業が進むショッピングモールの店内=2015年5月、ミシガン州サウスフィールド

米国における一人当たりの売り場面積はイギリスの5倍、ドイツの10倍とも言われ、要するに供給過多なのです。私の自宅の近所にも20分程度で行ける範囲に6、7軒あります。


しかしこれまでは、それでも潰れるところなどなかったのです。


Eコマースがモールを殺している?

2007年のリーマンショックまで、アメリカの消費を牽引していたのは何と言っても「モノの消費」でした。ところが2007年以降、お金の行き先が旅行や外食など、コトの消費へとシフトしているのです。アメリカの国内線は旅客を増やし続けており、昨年は人口の2.7倍に当たる8.23億人と過去最高を記録しました。また外食産業の売り上げは、小売の倍以上のペースで増えています。なお2016年には、家計における外食の出費が、食料品のそれを初めて上回りました。


ではなぜ2007年のリーマンショック以降、消費の動向が変わったのでしょうか?


(次ページへ続く)

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