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エボラ熱対策、合理性は

アフリカ研究者 白戸圭一 04



常識的振る舞いで多くは感染防げる


 大学の探検部員として仲間と初めてアフリカに渡航した26年前、私は12本の予防注射を打ってから日本を発った。黄熱病1本、コレラ2本、破傷風2本、狂犬病2本、A型肝炎1本、B型肝炎3本、髄膜炎1本。渡航先のニジェールの政府は入国する外国人に黄熱病の予防接種を義務付けていたが、他の注射については任意だった。


 食べ物を十分に加熱すること、ボトル入り飲料以外は飲まないこと、どうしても井戸水を飲む時は十分に煮沸すること、手洗いの徹底、虫刺されに気を付けること、不用意に犬や家畜に近寄らないこと、裸足で歩かないこと、けがに気をつけること、傷口はすぐに消毒すること、見知らぬ動植物に触れないこと、不特定多数の異性と性交渉を持たないこと──。

エボラ出血熱が流行した2015年のリベリアで、下校前に消毒液で手を洗う子ども

 後年、アフリカ大陸で家族と暮らし、大陸各地で仕事をするようになってから、そうした常識的な振る舞いを一つずつ実行すれば、多くの病気は予防できることが分かった。今から思えば、26年前の12本の予防接種は、明らかにやり過ぎだった。当時の私は、ひと言でいえば無知。アフリカについて何も知らないにもかかわらず、「アフリカは病気が多くて怖い」という固定観念だけは持っていたのだった。



 恥ずかしい昔話を書いたのは、エボラ出血熱の発生に関するニュースを耳にしたからである。世界保健機関(WHO)は5月12日、アフリカ中部のコンゴ民主共和国でエボラ出血熱の感染者が確認されたことを明らかにした。感染者が出たのは中央アフリカ共和国との国境に近い北部地域で、4月22日以降、住民9人が感染した疑いがあり、うち1人から検査で陽性反応が出たという。WHOは感染の拡大を防ぐための対策を急いでいる。


(次ページへ続く)

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