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「町で最もホットな社交の場はシングルスバーではなく、スーパーだ」

“The Hottest Social Scene in Town Isn't the Singles' Bar. It's the Supermarket.”

2018年3月10日付 ウォールストリート・ジャーナル紙

スーパーの食料品を前に、会話が弾み打ち解けて友人になる人たちもいる=Reuters


10年以上前の話だが、スーパーで買い物をしていたら、知らない男性に声をかけられたことがある。「あなたは例のデーティングサイトに載っていませんか?そこであなたの写真を見た気がします」と彼は言った。とても驚いたが、実際そのサイトに載っていたし、彼の顔はそんなに悪くなかったので、スーパーにあるテーブルに着いてしばらく話してみた。が、その場で性格が合わないことが分かった。デートサイトで長くメールのやり取りをしたうえで正式なデートにたどり着くより、はるかに効率が良かったので、「スーパーという場はやはり便利だ」と感じた瞬間だった。


この記事はスーパーが最近、恋愛相手との出会いの場になるなど社交的な目的で利用されている現象を報じている。ライオンズやロータリーのような社交クラブに参加する人は少なくなっている。また最近、米国人は買い物をネットでするため、様々な店が集まる大型ショッピングモールの需要が落ち込み、その数はどんどん減少してきている。その代わりに人の集まる場所として、スーパーが台頭。スーパー側もそうした傾向を汲んで、来店した人がhang out(たむろしたり)遊んだりできるスペースを設けているという。


スーパーはscintillating(きらめく、刺激的な)場所ではなく、chore(日常の定期的な雑用、面白くない用事)である食料品を買う場所といったイメージが強い。しかしそのスーパーはいまや、人びとが気軽に遊びに来るdestination spot(目的地)になるよう相当努力しているそうだ。そうしたことが将来に向けた大切なビジネス戦略になっている。ネットとの競争を意識するスーパーにとって、消費者がより頻繁に来店し、毎回より長い時間を店内で過ごしてくれることは嬉しいことなのだ。ちなみに、飲み物やprepared foods(出来合いの食べ物)は普通の食料品より利益率が高いのだ。


コミュニティーのsocial hub(社交の中心)になるよう、こういったスーパーは大きなテーブルやソファ、暖炉を店の真ん中に配置するといった工夫を凝らしている。コーヒーやワイン、食事をレストランのようなスペースで提供し、ワインテイスティングも行っている。クラブはそのスペースでミートアップし、地元の音楽家が時々、演奏する。このように最近のスーパーはsocial scene(社交の場)として成り立ってきている。スーパーで時間を過ごしながら友達をつくったり楽しんだりしている人が、この記事では数多く紹介されている。


シングルスバーに来る人はdesperation(死にものぐるい、必死)な雰囲気があるように思うが、それに比べてスーパーは日常生活の一環で行くので、集う人びともずいぶんリラックスしている。そうしたこともあってか、スーパーで出会ったカップルは最近、少なくないそうだ。スーパーの通路をroaming(歩き回り)ながら、友人をつくる人もいるそうだ。買い物を違った観点から考えさせてくれる内容である。


(ロッシェル・カップ)


(ウォールストリート・ジャーナル紙の記事はこちら




Rochelle Kopp

人事管理と異文化理解が専門のコンサルタント。シカゴ大経営大学院修了。日本語が堪能。本コラムに加筆した『見出しとリードで読み解く英語ニュース』(語研)など著書多数。

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