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勝ち組と負け組に分かれつつあるアメリカの大学

“U.S.Colleges Are Separating Into Winners and Losers”

2018年2月21日付 ウォールストリート・ジャーナル紙

学生が大学を選ぶ目も厳しくなっている=Reuters



米国の大学は長年、flourish(繁栄)してきた。その理由は、数世代にわたって学生年齢の人口が増加し、それに伴い大学進学率も上がったからだ。学生ローンも豊富で、平凡な大学にとってはまさに絶好の状況が続いていたのだ。


しかし今回取り上げた記事によると、そんな時代も終わりを告げようとしているという。出生率の低下、高卒と大卒との収入差の縮小などが主な原因である。また、1040の大学の新入生に関する過去20年間のデータを分析すると、米国の非営利大学はwinners and losers(勝ち組と負け組)と明暗が分かれつつあり、後者ではデススパイラルがすでに始まっているという。クオリティーの高い大学は学生を集めて成長しているが、そうではない大学からは学生が離れている。今後は大学のshake-out(淘汰)が起こると予想されているのだ。


この調査では大学のクオリティーやランクは、授業料に対する利益(卒業後の収入)や、student engagement(学生が主体的・積極的に学びに関わり、教員と信頼関係を築き、大学に高い帰属意識を持つこと)、大学のacademic resources(学術的資源)などのmetrics(測定基準)で決定されている。


記事の冒頭では、南北戦争後の同時期に設立され、約483キロ離れた場所にある二つの大学が比較されている。ウェストバージニア州にあるコンコード大学とサウスカロライナ州にあるクレムソン大学だ。コンコード大学は中規模のリベラル・アーツの大学で、入学者数が5年間で19%減った。準備金の1200万ドルを使い果たしたため、ほとんど使われていない寮を壊すお金もない。一方、クレムソン大学は大規模な研究大学で、2017年には過去最多の新入生を迎えた。同年12月には、8700万ドルもの資金を用いて、経営学部の新施設をbroke ground(着工した)。


この2大学では、卒業後の学生のキャリアでも明暗が分かれている。クレムソン大学卒業生の、入学から10年後における平均年収は5万ドルで、学生ローンのデフォルト率は3%。対照的に、コンコード大学卒業生の平均年収は32000ドル、学生ローンのデフォルト率は15%。さらにクレムソン大学には複数のパートナー企業があり、そうした企業ニーズに合わせたカリキュラムが用意されていて、就職にも有利なようだ。


専門家によると、低いランクの大学にとっては、dark days are ahead(お先真っ暗)だそうだ。トップランクの大学を卒業すると、大学のブランド力が雇用主にかなり良いsignaling device(信号を送る方法)になる。しかし、低いランクの大学で学士号をとってもあまり意味がないという。ますます厳しい状況に直面する大学は今後、consolidation(合併)やright-sizing(規模の適正化、要するに人員削減)を迫られると予想されている。学問の世界においても適者生存があるということだ。




(ロッシェル・カップ)

(ウォールストリート・ジャーナル紙の記事はこちら


Rochelle Kopp


人事管理と異文化理解が専門のコンサルタント。シカゴ大経営大学院修了。日本語が堪能。本コラムに加筆した『見出しとリードで読み解く英語ニュース』(語研)など著書多数。

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