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トランプ大統領のお気に入り番組は「ロンパールーム」仕立て

Watching ‘Fox & Friends,’ Trump Sees a Two-Way Mirror

2017年7月19日付けニューヨーク・タイムズ紙

ウォールストリート・ジャーナル紙に掲載された番組の全面広告。「全米で最も影響力のあるテレビショー」という広告コピーは、今回のコラムで紹介したNYT紙の記事中から引用したものだが、記事では大統領のお気に入り番組であることを皮肉った文脈で使用されている。
photo:Rochelle Kopp

自分自身が報道の対象となる大統領にとって、テレビニュースは時にいらいらさせられるものだが、どう報じられるかいちいち気にしたりはしない。しかし、トランプ大統領は例外のようだ。ニュースチャンネルがらみの数々のツイートを見ると、cable-news junkie(ケーブルテレビのニュースチャンネルの中毒者)と言われていることに合点がいく。


そのトランプ大統領のお気に入りがFOXニュースの「Fox & Friends」というモーニングショーだ。ニュース、生活情報、保守論客のcouch gab(ソファに座りながらのおしゃべり)からなるnontaxing(頭をあまり使わずに視聴できる)番組で、本格的なニュースcommentary(解説)を視聴するためのウォームアップの役割を果たしている。ニュースチャンネルの朝の番組の中では最も視聴者が多い。


この記事は、この番組のformula(決まったやり方)に注目したものだ。番組の中心テーマがトランプ大統領で、トランプ氏がツイートするとその内容や画像がスタジオ内の大きなスクリーンに映し出される。三人のホストのコメントは大統領への励ましや助言にあふれ、時に直接語りかけるような場面もある。それはまるでdistractible(気が散りやすい)幼い視聴者を引きつけるためにinteractivity(対話機能)を重視した子ども向け番組のようだという。


見出しのtwo-way mirror(マジックミラー)は、かつての人気幼児番組「ロンパールーム」で先生役のホストが視聴者の子どもたちの名前を呼んだエンディングの名物コーナーで使ったマジックミラー(フレームだけの手鏡)のことだ。


番組を見ると視聴者がどんなテーマに関心を寄せているのかがわかる。the media(マスコミ)批判(もちろんFOXニュースは含まない)は鉄板ネタだ。記事によると、最近は警察やイヴァンカ・トランプを侮辱するなという話が受けているとか。宗教関連のinspirational(感情を揺さぶる)話題も多い。


3大ネットワークと違い、ケーブルテレビの番組は、そもそも特定の視聴者向けに制作されることが多い。「Fox & Friends」の場合は、culture wars(保守主義者と進歩主義者の価値観の衝突)に並外れてinvest in(情熱を傾ける)人々らしい。つまりトランプ大統領のような人々だ。そうした視聴者の声だけに耳を傾け、そうした視聴者が耳にしたい話だけを語りかける。トランプ大統領の心をつかんだ番組づくりは、狙い通りの効果をあげているといえそうだ。

(ロッシェル・カップ)

(ニューヨーク・タイムス紙の記事はこちら



Rochelle Kopp

人事管理と異文化理解が専門のコンサルタント。シカゴ大経営大学院修了。日本語が堪能。本コラムに加筆した『見出しとリードで読み解く英語ニュース』(語研)など著書多数。


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