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男ばかりの写真公開。うっかりでなく狙い通り

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ペンス副大統領がツイッターにアップした〝問題の1枚〟

The All-Male Photo Op Isn't a Gaffe. It's a Strategy.”

327日付、ニューヨーク・タイムズ紙

 

この筆者が話題に取り上げたのは、ペンス副大統領がツイッターに掲載した1枚の写真だ。トランプ大統領とともにFreedom Caucus(自由議員連盟、共和党下院議員の保守強硬派による党内派閥)と会合を持った際に撮影されたものだが、写真におさまっているのは白人の男性ばかり。この面々で、妊婦や新生児への医療保険適用を保険会社の義務からstrip out(外す)ことなどが話し合われたという。

リベラル派の多くは、いまの共和党のpsyche(精神)をはからずも露呈したinadvertent(うかつな)1枚と受け取ったようだ。筆者によれば、あらわになったのは、vulnerable(傷つきやすい)女性がup a creek(苦境に立つ)ようplotting(たくらんでいる)男性が、misogynistic(女性嫌いの)世界にensconce(安住する)あまり、bad optics(自分のいる世界の外からはひどく見えること)に気づいていない様だ。このため、写真の公開は、gaffe(失態)とする政治アナリストもいた。(ちなみにup a creekup a creek without a paddleを略した表現で、パドルのないカヌーで川の上流にいる状態を示している)

しかしこの筆者は、ペンス副大統領が写真の取り扱いにtone-deaf(音痴)だったわけでなく、トランプ政権を支持する保守層へのintentional(意図的な)メッセージだったと解釈する。トランプ氏は大統領選でaggrieved masculinity(男らしさが不当な扱いを受けていること)を声高に主張していた。移民に仕事を奪われ、自立した女性に家庭での居場所を奪われ、思い描いた通りの社会的地位を与えられないことに不満を持つ男性はトランプ氏の大事な支持者だと気づいていたからだ。

トランプ大統領はmake America great again(アメリカを再び偉大に)と訴えるが、このスローガンは男性が長らく保持していたsupremacy(優越的な地位)を取り戻すことへのimplicit pledge(暗黙の誓い)を含んだものだ。白人男性しか写っていない写真は、リベラル派の女性にとっては悪夢が現実化した1枚だが、トランプ支持者にとっては大統領が約束を果たしてくれる証しの1枚なのだと筆者は指摘している。