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Super Bowl Ads Walk Tightrope in Politically Charged Times (政治化するか綱渡りになったスーパーボウルCM)

(2月1日付、ウォールストリート・ジャーナル紙)

ロッシェル・カップ

2017年のスーパーボウルの試合後、握手するペイトリオッッツのQBブレイディ(右)とファルコンズのQBライアン=ロイター

年に一度のSuper Bowl(米プロフットボールの王者決定戦)の開催日は、全米がお祭り気分になる。テレビ中継の視聴者は1億人以上を数え、中継を見るためにホームパーティーを開催する人も多い。鶏の手羽、トルティーヤチップスとアボカドディップなどスーパーボウル観戦の定番料理としてfinger foods(指でつまんで食べられる軽食)も存在し、フットボールに興味のない人さえテレビを見ているというのは珍しくない光景だ。


当然、テレビCMの料金は高騰し、現在では30秒のCM枠が500万ドル(約5億7000万円)するらしい。貴重な広告枠だからスポンサーは多額の制作費を投じ、たっぷり時間をかけてスーパーボウル用のCMを作る。娯楽性を備えた質の高い作品が多く、CMが見たくてテレビを見る人がいるくらいだ。この記事は、今年話題を集めたCMとして、アンハイザー・ブッシュ社のバドワイザービールのCMをとりあげている。


共同創業者のアドルフ・ブッシュが、米国でビールをつくる夢を抱いてドイツから移民してきた物語をCMにしたもので、普段ならcontroversial(議論を引き起こす)テーマにはならないだろう。しかし、難民や中東・アフリカ7カ国の国民の入国を一時禁止するexecutive order(大統領令)に世論がroiled(いら立ち混乱する)タイミングでの放映となった。このため、トランプ大統領へのrebuke(非難)として受け取られる可能性があるとして注目を浴びたのだ。


politically charged(政治色の濃い)トピックで、しかもhyperpolarized(意見が両極に分裂している)状況に巻き込まれるのは、スポンサーや広告会社にとってはperilous(危険な)ことだ。政治的なメッセージと受け止められぬよう、walk a tightrope(綱渡りをする)思いだったろう。もちろん、アンハイザー・ブッシュ社は、大統領令が出るずっと前から企画していたもので、会社の歴史とスピリットを紹介したいだけだと強調した。


では、視聴者の実際の反応はどのようなものだったのか? 「バドワイザーの不買運動をしよう」という声は出たものの勢いを得ることはなく、実はあまり騒動にならなかった。トランプ大統領を巡る連日のニュースの中であっという間に埋没した印象だ。いや、トランプ大統領がこのCMについてツイートしなかったので、議論の的にならなかったのだ。

2月1日付、ウォールストリート・ジャーナル紙より)



Rochelle Kopp

人事管理と異文化理解が専門のコンサルタント。シカゴ大経営大学院修了。日本語が堪能。本コラムに加筆した『見出しとリードで読み解く英語ニュース』(語研)など著書多数。



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