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[第134回]"Why Blue States Are the Real 'Tea Party'" 「ティーパーティー運動は民主党支持州のもの?」

(2016年12月3日付、ニューヨーク・タイムズ紙)

ロッシェル・カップ



ニューヨークで、米大統領選の結果をテレビ画面で見る人たち=Reuters

米国独立運動のきっかけにもなった1773年のボストン茶会事件にちなんで名付けられたtea party(茶会)運動は、「大きな政府」に反対し、民主党政権と対立する保守派の運動だ。ところが、この記事の見出しは、blue state(民主党支持者の多い州)こそ、tea partyを名乗るのにふさわしいと訴える。


その理由を説明するにあたって、記事の筆者がとりあげたのは米国の選挙制度だ。アメリカの大統領選は、一見するとone-person-one-vote(一人一票)だが、実はそうではないという。大統領を選ぶのはElectoral College(選挙人団)で、有権者が選ぶのは選挙人団を構成するElector(選挙人)。選挙人の数は州の上下両院議員の合計数に応じるが、上院議員の定数は人口を問わず各州2人のため、人口の多い州の一票の価値は、人口の少ない州に比べて低くなる。一般有権者の投票数ではdecisive(明らかな)勝利をおさめたヒラリー・クリントンが獲得した選挙人の数で負ける矛盾が起きたのは、このためだ。


加えて筆者は、社会保障給付など連邦政府からの一人当たりの受益が州によってdisproportionate amount(不均衡な額)になっている点も指摘する。たとえば人口密度が高いニュージャージー州民の受益額は税金1ドルに対し61セントであるのに比べ、人口密度の低いワイオミング州民はおよそ2倍の1.11ドルとなるという。


筆者は、この2つの点からtea partyの名にふさわしいのは誰かと問う。ボストン市民が港の貨物船を襲い、積み荷の紅茶を投げ捨てたのは、英国の不公平な課税に反発してのこと。「代表なくして課税なし」というgrievance(不満)は、まさに現在のblue stateに当てはまるのではないかというのだ。


「一票の格差」や「負担と受益の不均衡」の問題がこれまで大きな問題とされてこなかったのは、割を食っている州が貧しいred state(共和党支持者の多い州)ではなく、カリフォルニア、ニューヨーク、ニュージャージーといった比較的豊かなblue stateだったからだ。トランプ政権のかじ取り次第では、blue stateoutrage(激怒)が爆発するかもしれないと、筆者は警告している。


2016年12月3日付、ニューヨーク・タイムズ紙より



Rochelle Kopp

人事管理と異文化理解が専門のコンサルタント。シカゴ大経営大学院修了。日本語が堪能。本コラムに加筆した『見出しとリードで読み解く英語ニュース』(語研)など著書多数。




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