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[第129回]“America’s homegrown radicals: the alt-right” 「アメリカのネトウヨ:自国育ちの過激派」

(9月22日付ボルティモア・サン紙)

ロッシェル・カップ

photo:Reuters

私を含む多くの米国人、そして世界各国の人たちが、米大統領候補のドナルド・トランプ氏の言動に強い反発を感じている。彼の支持者たちの考えは理解しがたい。特に怖いと感じるのは、トランプ氏や彼のファンが口にする差別的な発言、incitement to violence(暴力の扇動)だ。いつからそんな表現が米国のpolitical discourse(政治論説)で許容されるようになったのだろうか?


記事の筆者は中道のイスラム教徒で人権運動家だ。彼は最近、ユーチューブで12万人のフォロワーを持つ保守派右翼向けチャンネルをstumbled upon(たまたま見つけた)。そこに集まる人たちが何を考えているのか知りたくてコメント欄を読んだところ、暗殺を促すような人種差別的なtirade(非難)がありgravely disturbed(非常にショックを受けた)。そこで使われているのがアラビア語だったら、過激派イスラム教徒たちがテロの計画を話し合っている会話だと思うほどの内容だったという。コメントしたのがおそらく米国人で、ユーチューブという誰もが使うメディアに普通にアップされたことに記事の筆者は驚いた。このradicals(過激派)はhomegrown(国内で育まれた)のだ。


筆者が見つけたユーザーはalt-rightと呼ばれる存在のようだ。altalternative(主流ではない、第三の、といった意味)の略語だ。2008年ごろに登場した言葉で、最近まであまり耳にすることがなかったが、この数カ月で頻繁に使われるようになった。彼らはトランプ氏の熱心な支持者であり、トランプ氏の発言にembolden(励まされている)。xenophobic(外国人嫌い)やwhite supremacist(白人至上主義者)も多く、multiculturalism(多文化主義)、フェミニズム、そして移民の受け入れに強く反対している。


記事の筆者の興味深い分析によると、イスラム教過激派とalt-rightには共通点が多いという。いずれも主に男性が支配する運動で、outdated(旧式)で極端なsociopolitical order(社会政治的な秩序)を復興させようとする。さらに、どちらもほかの宗教や民族をothering(他者化)している。そして、非常に残念ながら、どちらの人気も高まりつつある。


今のところ、alt-rightharmful rhetoric(有害な言辞)は言葉の段階で止まっており、過激派イスラム教徒のように暴力には訴えていない。だがトランプ氏が選挙に負けたらどうだろう。記事の筆者によると、彼らが次の段階として暴力に訴える可能性は、トランプ氏が大統領選に勝つのと同じくらい、懸念されているそうだ。実は私もそれを心配している。



Rochelle Kopp

人事管理と異文化理解が専門のコンサルタント。シカゴ大経営大学院修了。日本語が堪能。本コラムに加筆した『見出しとリードで読み解く英語ニュース』(語研)など著書多数。

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